国家試験第一回の傾向にあわせた改版に期待
★★★☆☆
基本的に、選択肢のうちいくつが該当するか、該当するものの組み合わせはどれか、を選択させる「消去法では正答できない問題」(列挙された各状況に対する適切・不適切を全て正確に判別できねばならない問題)が盛りだくさんであるため、これで80%以上正答できれば十分でしょう。
各法に関して、右ページに問題、それをめくった裏(左ページ)に解答・解説という体裁になっています。四択の解答だけではなく、それに至る理由(各状況の記述はどの説明部分が不適切であるか)まで考えた上で、ページをめくって答え合わせをすべきです。
なお、問題1ページ・解答1ページ、というスタンスを固持していることもあり、章(法律)によっては解説や執筆をされた方が異なるのか、弁理士試験や法学の未履修者には言葉足らずで主語(当事者)が誰かわからなかったり、根拠法令がわからなかったり、そもそもどこが不適切な記載であるのかという論拠が読み取れない解説文もあります。
喪失と無効、解除などの違いを理解して論拠を補えるほどに理解を進めないと80%の正答率には至らないことを実感するのには良い教材となるでしょう。単独で用いることなく、別途、テキストと根拠条文(法文)と照らし合わせて用いることが必要です。
特に、第一回の出題は知的財産教育協会が編纂したテキストの例題や解説部にある一文をもとにしたものが大多数であったため、そちらをかなり一文一文読み込んでおられた方は解答しやすかったかもしれません。
それに比べれば制度の非常に細かいところまで例題に挙げられている本問題集はかなり咀嚼して理解する必要があるだけ厳しく、テキストと表現が異なる部分や問題については、学習時・受験時ともにご苦労された方も多かったのではないでしょうか。