旧・新書版が在庫のみとなってしまった現時点（買うなら今のうち！）で、
収録話数が一番多い「ブラックジャック」になると思います。

今回の文庫全集では、近年になって収録されるようになったエピソードはもちろん、
今までの全集では　なぜか収録されなかった未収録作品も雑誌掲載順に収録されています。

あいかわらず「指」や「快楽の座」は未収録ですが、
現時点で「ブラックジャック」を買おうと思っているなら
この文庫全集が一番いいでしょう。

むかしこのコミックを読んで、命や医療という人間の根幹にかかわるテーマだけに、面白いだけではなく深く考えさせられるものがありましたが、その後の何十年の人生においても、ときどきこのマンガの内容を思い出したり、主人公や恩師などの印象的なセリフを思い出して、そのときに自分が直面している人生の問題についての判断に影響を与えてくれたことが何度もありました。

そういう意味では、今の子供たちにも、これからの子供たちにも読み続けてほしいと願っています

たかがマンガとは言えない重厚な作品だと思います

中学３年の時、図書室にたまたまあったので初めて読み「こんなに面白い漫画があったのか！」と衝撃を受けたのを未だに覚えています。
言わずと知れた、「漫画の神様」手塚治虫著の医療系漫画の先駆けとなる「ブラック・ジャック」。
天才的外科手術の持ち主だが無免許医師、街外れの丘の上で開業しており、「金の亡者」「１匹狼で偏屈」と「世間的」には評判が悪いブラック・ジャックだが、生命の大切さや本当の優しさを誰よりも知っており、人間の傲慢さや愚かさ・醜さ・美しさ等の人間ドラマが驚くほどまとまりよく描かれています(１篇20ページ程なのに！)　さすが「漫画の神様」と認めざるを得ません。
現在では医療系漫画は沢山ありますが、これを超える作品は今後もありえないと思います。
１話完結型なので、初めての方でも読みやすいですし、１度は読んで欲しい作品です。
この「新装版」には「手塚治虫漫画全集」に掲載されていなかった話が再編集されて掲載されているものがあるので、やや深く「ブラック・ジャック」を読みたい方にもオススメです。

以下はトリビアですが、本作品は、手塚治虫氏の(当時)漫画家生活30周年作品で、連載開始当時は手塚氏の漫画は他の漫画家の作品の台頭により、人気が薄れ始めていました。
そして、手塚氏が「この作品で漫画家生活を最期にしよう」と考え、その意を汲んだ少年チャンピオンが「手塚治虫漫画家生活30周年作品」として掲載したのがこの「ブラック・ジャック」(当時は「恐怖コミック」扱い)です。
なので、当初は連載４〜５回で打ち切りの予定でしたが、人気が出たので連載継続となり、長期に至ったのです。

上記は私が知っている限りの知識ですので、もし私以上に知識をお持ちの方やマニアの方がいらっしゃって間違いがございましたら、申し訳ありませんm(_　_)m

他社の全集で揃え出したんですが、一話ごとの掲載順番がバラバラすぎてもの凄く違和感がありました。
連載当時に読んでいたものとなんか違ーう！とか、そんな風に感じられた大人の方はこちらの方が断然よろしいかと思います。
まあ、分厚くて読みにくいのは確かです。
でも口絵にカラーが入ってるのも、扉にカットがあるのも、こちらの方が私としては得した気分でした。

内容は、今だからこそ読みたい、大人になっても読める！　お子様も読みましょう！
です。

小学３年生の息子が図書館でずっと借りていたので、お誕生日に５冊セットにしてプレゼントしました。大喜びです☆