スピッツのアルバムの中で、フェイクファーが一番BGMとして聞きやすいという印象です。次から次へと好きな曲が出て来て、いつのまにか１周聞いてしまっている・・・というような。

ただ、RECYCLEを先に聞いてしまった人にはあまりなじめないかもしれません。というのも、「運命の人」「楓」「スカーレット」などRECYCLEに収録されている曲が入っているため、そちらに気がいってしまいがちです。そのため、何度もアルバムを通しで聞かないと他の曲の良さが伝わってこない感があります。

ひとたび気に入ってしまえば延々とアルバムリピートしていても飽きない名アルバムなんですけどね。１２の「フェイクファー」なんて特にオススメで、一聴の価値アリですよ。

ロックロックした『ハチミツ』や『インディゴ地平線』を想像していたら
大違い。メロディアスで情感たっぷり、
初めは別のアーティストの曲を歌っているのかと思いましたが、
マサムネ氏の声とバンドの演奏でスピッツらしさが滲み出しています。
セルフプロデュースのアルバムのはずなのに面白い。
バンドの方向性に迷っていた時期の作品なのでしょうか。

「楓」「謝々」などが好きなのですが、
私にとっては独特な浮遊感と透明感の交じり合ったロックが
「スピッツ」の魅力なので、☆４つです。

初めて聴いた時、「マサムネさん、だいじょうぶ？」と、思いました。だって、いつも以上に切なげな曲ばかり、聴いてる方もなんだか辛くなってくる・・・。特に恋愛している人が聴くと、胸がぎゅっと締め付けられるような曲ばかり。なんだか、恋愛の辛さとか切なさが詰まった宝石箱のようなアルバムなのです。このアルバムを出して以降、スピッツはあまり新作を発表しない時期が続きました。何か悩んでいたのでしょうか、マサムネさん。でも聴いた人のハートを掴んで離さないこのアルバムは、その後の空白期間を考えてもおつりがくるぐらいの素晴らしいでき！聴いて涙が出るアルバムは私にとってこの「フェイクファー」だけです。

　スピッツというとまず言われることが、マサムネさんの声のことです｡でもそれだけじゃなくて、ベースもギターもドラムスもそれぞれにものすごく上手くて、そのひとつひとつがスピッツの音楽を創り出しています。

　どれもお気に入りで好きなものを選びだすことは難しいです。あえていうならば、最後の『フェイクファー』です。あったかいです。じんわりじんわりと。