NGNとはキャリアネットワークのオールIP化のことである
★★★☆☆
NTTでサービスが始まったので、NGN関する書籍をざっと漁ってみた。
監修者井上氏は電電公社出身とのことで、専門家(というかユーザ側ではなく業者側)の手になる一冊である。
中身は、NGN出現の背景、これまでのネットワークとの違い、NGNを構成する技術のやや詳しい議論、そして最後にユーザ社会がどう変わるかといった内容で、書名どおり網羅的かつ啓蒙的な入門レベルの参考書だ。
「NGN(中略)は、従来のキャリアネットワークのオールIP化と
サービス統合を指すものです(p71)」
とある。
本書の視点もまさにこの通りで、逆にいえば、利用者からみたときに何がいいのか、そこはよくわからない。日本のブロードバンドの利用料金は世界でも最も安価な水準で、聞くところによると米国の7分の1だそうだ。その料金がさらに安くなるのだろうか。どうもそういうことではなさそうだ。
通信事業者の立場からみたNGNはどうやら、設備の維持費が高くついてやっていけないとか、使いすぎの人からはもっとたくさん料金をとりたいとか、そういうところに大元の動機があるようだ。利用者からみて、次世代ネットワークがどんなに夢のあるものか、そこはいまひとつわからない。
ただ類書に比べれば、素人向けにわかりやすく書かれているほうだとは思う。