銀行の内部監査初心者に
★★★★☆
営業店の支店長を何店舗か経験して、退職までの数年間を大過なく過ごす、最後のパラダイスであった「検査部」から、金融検査マニュアル、金融検査評定制度、内部統制報告制度、バーゼルII、顧客保護態勢、情報管理態勢など、怒涛のごとく押し寄せるテーマに悪戦苦闘しつつ、限られた陣容で果敢に立ち向かっていかなければならない「監査部」への転換。こうした変わり目にある銀行の内部監査部門のあり様を、「当たり前すぎて聞くのが恥ずかしい34の疑問」(本書帯)への回答を通して明らかにしようとするのが本書の狙いです。
初心者にとって、本書は平易な文章で書かれており、スラスラと読め、最低限重要な点の理解はできると思いますが、「34の疑問」が実務面からの断片的設問であるため、理論的背景を柱にして内部監査の全体観を押さえるにはやや不十分かもしれません。入門書として読むなら、阿久沢榮夫「内部監査人室−内部監査人のための実践読本」や川村眞一「これだけは知っておきたい内部監査の基本 新訂版」などを併せて読むとよいと思います。
一方、経験者にとっては、本書をベースにしての新人教育や、自身の行動に見落としがないかの再確認などに活かせると思います。