バークレー帰国後の第一声
★★★★☆
ツイン・ドラムス、二台のキーボード、しかもアコピとエレピの重層...編成的にもサウンド的にも、「イン・ア・サイレント・ウェイ」と「ビッチズ・ブルー」の中間、しかもやや前者寄り、といった感じ。さらに、「ネフェルティティ」を思わせる部分もある。
本作が録音された昭和45年というと、まだブレイキー一派がファンキー旋風を巻き起こしてから十年と経っておらず、大方の日本のジャズファンの意識もまだ江戸時代的なものだったとおもうが、そこにこういった音楽が登場したのだから、リアル・タイムではそうとうの衝撃だったのではないか?
今聴いてもそれなりに刺激的だが、逆に、なぜ今までCD化手付かずだったのか...? 一時期は大衆的な人気もあったと聞く「プーサン」の、その後の日本ジャズ界におけるスタンスみたいのを空想させて、興味深い。
ドラムの一人は、今ではすっかり「大御所」となってしまった「ポン太」。
長らくのお待たせでした…
★★★★★
レコードの発売から約40年!やっと再発です!当時アルバムの発売とともにツアーもあり、「テネイシャス・プレイヤー・フォーエバー」で始まった、ツイン・ドラムにダブル・キーボードのカッコいいステージが目に焼き付いています。菊地がバークリーに音楽留学した68〜69年、このアルバムを出した70年は、アメリカジャズ界もまさに動乱の時期!マイルスがエレクトリック化を打ち出し、時代の殻を破るアルバムを続出して揺れに揺れていた時期です。当時の見開きのアルバムジャケットの中に、既成のジャズ概念を打ち破り、ジャズのルーツを顧みることで、音楽することに歓びを見いだし、音楽全般のヒューマニズムを回復するべきだ…ということをライナーノーツ代わりに認めています。留学は菊地自身の方向性にも相当な影響があったのでは?CDの音はマスタリングで各楽器の音がクリアーとなり、音量も上がっています。ピース・ツー・ピースの哀愁を帯びたフェンダー・ローズの音も、低かった音量が持ち上げられています。またヤング・ブラッズなどで聴かれるピアノのチューニングの狂いも修正されているようです。
意外にも4ビート
★★★★★
エレピが入っていることから、ロックっぽい音を想像していたのですが、
ハードな4ビート中心の演奏だったので却って驚きました。
クールに走るアコースティック・ピアノや、峰厚介さんのアルト・サックスもいいですね。
そこへふんわりと被るエレクトリック・ピアノが何とも夢幻的。
これから何か新しいことが始まる、胎動を感じさせる演奏です。
菊地雅章(p), 峰厚介(as), 菊地雅洋(el-p), 池田芳夫(b,el-b), 村上寛(ds), 岸田恵二(ds)