仮のデザインテーマを設け、実践的な配色レシピをサンプルとして紹介する本書の手法は、
具体的なイメージを想起させるのに有効なものだと思います。

タイトル通り、各サンプルごとに３つのポイントを挙げて解説し、
パッと見のインスピレーションから、その配色ロジック理解までの道のりが近くなるように、
との配慮が窺えます。

「クリエイターのための」
と謳ってはいるものの、僕はそうでない方にもオススメしたいと思います。
例えば業務のドキュメントを作成する際にも、グラフの色分けなどで迷った時、
本書のロジックの一つを（勿論それに見合うものを選ひ）当てはめて見れば、
グッと洗練されたものができるはずです。
個人サイトの色あわせなどでも使えるでしょう。

本書の内容からは逸脱しますが、改めて思ったことが一つ。
サンプルはどれも洗練されているのですが、巷に出回る商品デザインに比べると、
サンプルはサンプルにしか見えないのがわかります。

その違いは勿論細部の詰めにあるわけです。
ちなみに本書への批判ではありません。サンプル集ですから当然です。
言いたかったのは、プロがプロとして商品を世に送り出す上では、
いかに行き届いた配慮がなされているか、を理解したいということです。

配色、レイアウト、文字組み、質感、こういったものが全て高いレベルで
融合して、はじめてデザインとして良い物ができるのだと改めて思った次第です。
本書はそのうち配色の部分でのインスピレーションを与えてくれる良書かと思います。