なんか、悲しい・・・・
★★★★☆
ふらりと吉原に現れた、どこかの旗本らしき若侍。
「織江緋之介」と名乗ったその男は、
遊女屋「いづや」に客分として逗留することに。
緋之介のさわやかな風貌は、遊女たちも好かれ、
その剣技は、主総兵衛をも唸らせる。
緋之介のさわやかさとは裏腹に、
その立ち回りは血なまぐさく、
素直で屈託のない若者かと思いきや、
心に何か重いものを背負っているような。
登場する人物が皆、それぞれ裏の顔を持っていそうで、
最後までワクワクします。
権謀術数渦巻く江戸城の駆け引きもおもしろく、
登場する女性たちも様々で、その恋心も惹かれます。
単なる剣豪小説ではないところが、なおおもしろいです。
そして最後まで、
みんなの好きな人を思いやる心が、
悲しいお話でした。。。