アメリカのみならず、今や世界２４カ国で運用される大ベストセラー機、Ｆ−１６のムック本です。

開発経過と性能、搭載兵装に関する詳細な解説も読み応えがありますが、圧巻なのはバリエーション解説。試作機ＹＦ−１６に始まり、アラブ首長国連邦だけが導入した最新式のＦ−１６Ｅ／Ｆ、クランクド・アロー翼のＦ−１６ＸＬ、果ては前進翼のＦ−１６ＦＳＷまで網羅されています。また世界各国での導入・配備状況にシリアルナンバー、今後の展望、さらにはアメリカ＆世界のＦ−１６部隊のパッチ・カタログも掲載されているという充実ぶりです。

レバノン内戦からイラク戦争まで、数多くの戦場に投入されてきたＦ−１６だけあって、実戦における運用や戦果に関する記述も多く、読み応えがあります。華麗な『空の騎士』というイメージのＦ−２２やＦ−１５に対して、Ｆ−１６は泥や硝煙にまみれた『前線の兵士』を想起させます。常に最前線に投入される、安価で無骨な頼れる戦闘機。コンフォーマルタンクを背負った姿はスマートとは言い難いかも知れませんが、そこに漂う『実戦の匂い』が、この機体をより魅力的にしているように思えます。

コックピットを含めた機体写真や図も豊富で、見ているだけでも楽しめますし、模型作りの資料としても一級品といえます。