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幕末遊撃隊 (集英社文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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気持良いんだねぇ、江戸弁が。 ★★★★☆
 幕末の剣豪、伊庭八郎の物語。
 江戸の伊庭道場の跡取りでありながら、十六歳になるまで剣道の修行を
しなかったという変わり種。
 しかし、天賦の才か努力の賜か、長じて当代一の腕になったという即ち
天才である。
 文武両道に優れ白皙の美男、そして老がいに冒されている、という、
どこかで聞いたような気もするが、まるで絵に描いたような主人公だ。
 幕末に生まれた御家人で腕が立つならお決まりのコースで、函館まで転戦、
波乱の生涯を送る。
 著者の江戸っ子らしい歯切れのいい啖呵、何より江戸っ子の思い切りのいい
生き方に共感を覚える。
 池波正太郎の江戸弁語りが、うれしい一冊。
伊庭八郎さんにハマります ★★★★★
この本をむかぁし友人に勧められて読んだおかげで
伊庭八郎さんにハマり彼の御墓のあるお寺にまで
お参りに行ったこともあります。

時代劇小説の2大巨匠のお一人の池波さんの
伊庭八郎を主人公にした小説です。
もう何度も読み返してそのたびにかっこいいなぁと
思わずにはいられません。

彼はグルメであるし、イケメン、しかも御曹司なのに
偉そうな所がなく気さく、好きな女には一途、剣も強い。
もう女性にとっては理想の男性ではないでしょうか?

池波さんを読まれた事がない方でも読んで良かったって
思えます。そして伊庭八郎という人に絶対ハマると
思います。

本当に良い男って ★★★★★
幕末の「幕府側」の武士。伊庭八郎の本である。

もうカッコイイ!
これぞ江戸っ子だよなぁ。
作者である池波さんの書かれるべらんめぇ口調が嫌味なくツボにはまりました。
将軍のことを「ダンナ」とルビを振って娼婦とお客に例えてみたり、 表現がいちいち粋です。

16歳まで学問ばっかりで竹刀を取った事もない伊庭は、ある日を境に剣の道に進んでゆくのですが…

自分の希望。他人の願望。そしてそれらを取り巻く状況。
そんな全てをフラットに見られて受け入れらる。
こんな人こそ「いいオトコ」なのかもしれない。
これぞ正統派イバハチ! ★★★★☆
隻腕の美剣士というフレーズに惹かれて読みましたが、
その苛烈な生き様に見え隠れする人間的な温かみが
その悲劇性を際立たせているように思えます。
伊庭八郎がひたすらかっこよく描かれていて、
かっこいいだけでは物足りないという女性も多いのではないでしょうか。
伊庭八郎の友情と愛情 ★★★★★
イバハチといったら、壮絶なエピソードの多い幕末においてもひときわ麗しく、かつ勇ましかった英雄の一人ですが、そういった面を徒に強調せず、むしろ彼の深い情からくる真摯な生き様を徹底してクローズアップしたところに、この作品の素晴らしさが集約されています。

肺患ゆえに短い余命を悟った八郎が、その事実をひた隠し、限られた時間の中で何ができるかを真剣に考えて己と向き合い、人々と接する様子は、切ない覚悟ながらも潔くて、カッコいい!

特に個人的ツボだったのは、遊撃隊士としての伊庭八郎、というより親友の本山小太郎や鳥八十の鎌吉との関わりあいが、作品中めいっぱいに描かれていたことです。

佐幕派に与して抗戦するといっても、遊撃隊はじめ佐幕諸隊の幹部たちとのあれこれを描くより、やっぱり一番心を寄せられる友だったろう二人との触れ合いが最期まであったから、八郎は望むべくして斃れることができたのだなぁということが、ちゃんと伝わってくるエピソード満載。

ひそかに本山小太郎&荒井鎌吉ファンな幕末フリークはもちろんのこと、彼らの存在を知らなかった人の心にも響くことは間違いなし!

八郎をとりまく女性たちとの情愛もこまやかに描かれていて、八郎の男ぶりのよさをいっそう際立たせているとともに、女性たちの魅力も豊かに表現されています。

義妹のおつやは芯の強い凛とした女性で、妻にと望んだ義父の想いと死に直面する八郎の決意が交錯して、微妙な関係が保たれていますが、おつやと八郎、それぞれの思い遣りが美しく、精神的な愛情あふれるやりとりが胸を打ちます。

対照的に情愛で満たされたおいらん・小稲との関係はリアルで、池波氏の感性が光る場面が盛り沢山。

強い意志で死に臨みながらも人との深い関わりあいを絶やさなかった伊庭八郎の、人情味に満ちた温もりがぐっと伝わってきて、ただかっこいいだけでない、滲み出る本物の男の優しさと勇気を感じられる作品です。