15歳から始まり、主人公や登場人物がみんな一年づつ歳を重ねていく…。
素晴らしい、しかしとても困難に思えるこの画期的な取り組みに、赤川さんはいとも簡単なように(?)読者をとりこにしてしまっています。
簡単なように…と言うのは、登場人物が本当にリアリティがあり、読者は主人公・爽香と友達のような、また時には自分の分身のようにすんなりと身近に感じることができるからです。
爽香は、決して特別な子ではありません。(事件に遭遇する“確率”は特別ですが…!)誰しもが抱える悩みを持って、ひたむきに生きています。本当に生きているような気がして、爽香の代わりに文句を言いたくなることもあります。爽香の喜びを分かち合ってしまうこともあります。
そしてこのシリーズの、というか赤川次郎さんのすごいところは、関わり合う様々な人間の洞察力、というか描写の繊細さにあると思います。みんな、自分勝手になったり、柔らかくなったり、人を許したりします。現実と同じなのです。
またさらにそういった人間模様とミステリーが同居しているということに驚きます!
この一冊を読んだら、もうその後の爽香の成長を見過ごすことは出来ないでしょう!!
毎年、一冊だけ出版され登場人物も一歳だけ年をとるというかたちもおもしろいですね。全部読まなくてもストーリーは理解できるようになっていますが、この第一弾は必ず読んでほしいです。今後の爽香の人生を左右する人たちに出会う記念的作品です。
そよ風のような!少女は、今も歳を重ね、今年爽香は30になりましたが、その爽やかな気質は少しも変わっていません。