これはおもしろい
★★★★★
五味長官のあと、なんとなくリーダーシップ不足のような印象を与える佐藤元長官だったが、これを読むと、けっこう怖いひとだったのだなあと思えた。とにかく淡々とやることをやっている、素朴だけど、結論もそう間違っていない、という感じ。欧米いずれも危機に際しては、やることはどうしても見苦しくなるのであり、日本もそれは避けられないのだけど、それにしてはご立派だと思う。あえていえば、財務省と日銀(+政治、金融大臣)が、低金利政策と国内権益保護のスタンスを捨てない限りは、市場原理を通じての金融の健全化が図られないので、いくら金融庁が規制監督の局面で清廉かつ熱烈にがんばっても空しい、いたいたしいということがあるが、そこまでこの本で書くことはないし、自分の仕事はしているわけである。