「金春屋ゴメス」を読んだら面白くて、その流れでこの本を読むきっかけになりました。
金貸しの話だからかなりとっつきにくいかと思っていたら、読み出したら止まらない。
金春屋ゴメスも個性的で面白い内容でしたが、続きが読みたいと強く切望したのはこの本です。
大体のあらすじは他のレビューに書かれてある通りなので、敢えて省きますが、

私がこの本で強く感動したのは「人情」です。
今この現代で最も欠けている人情がこの本には描かれていて、切なくなりました。
大人にいいように利用され、心も身体も傷つきながら物乞いする少年が、
血のつながらない妹を必死で守ろうする姿に胸を打たれます。
その少年をどうにか救いたいと苦心する主人公の浅吉に、その少年が始めて心を開いた瞬間・・・もう泣けました。
フィクションですが、他にも人情話が盛りだくさんでとても良い本だと思いました。
この本には他にも個性的なキャラが出てきて、彼らの今後の行方がものすごく気になります。
主人公の後を継ぐことになった浮浪児達のボス格の勝平や、トミ、そして主人公なのに苦労ばかり背負って、おいしい場面が一つもなかった浅吉の今後が気になります。
故郷で嫁をもらったのか？それとも江戸に舞い戻ったのか・・・

西條 奈加さん、続きを是非、お願いします！

（狙ってるんだろうけど）装丁が畠中恵先生のしゃばけシリーズに似てたので、手に取りました。

主人公が男性なのが最初はなじめなかったけど、読んでるうちにどんどん物語に引き込まれました。
感想は、「上手に創ってあるなぁ」
最後まで飽きさせない作り方で、楽しめました。
希望は挿絵が欲しかったな。


これがあまり面白かったので、金春屋ゴメスシリーズも読みました（面白かったです！）
あちらは、装丁が下手ですよね。
やっぱり知らない著者の本は、表紙や口コミなどが良くないと読もうと言う気がなかなか湧きません、

時代小説が好きな方にお勧めの1冊です。

高利貸しのお吟の家に張り込んだ浅吉は、単なる借金取りになるのではなく、事業のコンサルタントとして人々に関わる。
まずは借金を整理し、現在の経営を見直し、時には新しく起業し、借り手に借金を返す素地を耕させることで、借金は融資に変わる。
手間はかかるが、借金の返し方、借金をせずにすむ暮らし方を指導することで、いつしか感謝される高利貸しになっていく。

なぜなら、浅吉は、借金を作った末の悲しみや苦しみを知っているから。
たった一人の人間の微力さを、よく知っている。それだけに、もどかしくもあきらめきれない願いがある。
この不況の真っ只中、たやすく借金を作ることを戒める物語は、とても現代的で身につまされるようだ。
この本は、金の亡者にならず、いかによく生きるか、ということを投げかけてくる。

西條さんの小説は、最後は収まるところに綺麗に収まる感じが、時代劇らしい。
読みやすい文章と魅力的な人物、一工夫も二工夫もされた設定と物語は、無駄がなくて面白い。
すんなりと引き込まれて、心がほんのりと温まるような気持ちのいい時間をすごせた。

ゴメスよりも話がまとまっていて面白いかも。
人に勧めてあげたい本です。
表紙イラストがもっといい感じならいいのに、ちょっとできの悪い漫画風ですね。

債務整理と、コンサルティングを一手に引き受ける若者。
因業婆の家に居候して、何をたくらんでいるのかと思えば。。。
想像したよりは、全然怖い話じゃなくて、ファンタジーぽさもあります。
ゴメスだけでなく、畠中恵なんかが好きな人にもお勧めです。