現代に重点をおいたチベット仏教解説書
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本書は、チベット仏教の歴史について解説した章もあるが、どちらかというとチベット仏教の現在の状況を紹介した書である。チベット仏教の主な僧院は、現在はインドにあるが、そうした僧院での修行の内容についても解説されている。現在のチベット仏教の全体像を知りたい人には、お勧めできる本である。執筆者にも、新顔の執筆者や若手の研究者が数多く名を連ねており、その意味で新鮮でもある。
チベット仏教の各派の代表者は、中国のチベット侵攻をきっかけにすべて外国に亡命し、欧米をはじめとする海外での布教に力を入れた。そのような海外布教の歴史や海外布教で活躍したチベット人について解説した章もあり、ダライ・ラマ法王以外の功労者を知らなかった私には勉強になった。もちろんダライ・ラマ法王の歩みや生き方についても解説されており、ダライ・ラマ法王の偉大さを改めて感じさせられた。