科学をめざす社会学の入門
★★★★★
古典派の再生産表やワルラスの価格方程式など、創成の
はじめから、数学的な方法を用いた経済学などと比べると
社会学は調査の設計と分析のための統計学に特化してきた
ように思われる。
本書は、多様に発展してきた数学を、その他の社会科学に
倣って自覚的に社会学の方法として、取り入れようとする
試みの書である。(ようにみえる。)
数と量そして空間と関連する限り、社会学も、数学的な形
式によって表現されることになる。
経済学で広範に利用されるゲーム理論の方法が、多くの章
で扱われているのと、この分野の先例である、経済学から
事例がとられているのが特徴である。
最近経済学者の小島寛之氏が注目している、シャプレー値
が解説されたり、ゲームによる所得分布の話は、株価収益
の分布の話と似ているようで、興味深い。
学部生、院生にかかわらず、有益な本だと思われる。
シニアのアマチュアにも、読み物としても面白く読める
ように仕上がっている。