表現の自由を求めて
★★★★★
ぬり絵のりんごを赤いクレヨンで一心にぬった幼い頃。私はその時から、りんごは赤いという固定観念に囚われていたのかも知れません。美術教師の太田さんは、限られた時間の中でスケッチやレプリカ作りを行ったり、二ヶ月かけてあるテーマを生徒に掘り下げる指導を行いました。これは、自ら描きたい物を子ども自身に見つけさせるというダイナミックな試みです。
太田さんの熱意溢れる指導は多くの生徒をコンクールに入賞させます。そして太田さんをカリスマ美術教師と言わしめるまでになります。その一方で、職員室では孤独であったというエピソードもあり、教育について考えさせられる一面もありました。
認められることの少ない主婦であった太田さんが、離婚を経験し美術教師となったからこそ、表現することの喜びと、表現しなければ認められる機会を失うことを知っていたように感じました。常に草花を絶やさない美術室に来た子どもを、太田さんは笑顔で迎えます。表現への憧憬を美術教師という形にし、真の「表現」とは何かを私たちに問いかける、情熱の書です。多くの方に是非読んで欲しいと思います。
いろんな思いがこみあげてくる。
★★★★★
信頼できる先生に出会えなかった小中高時代を振り返ってみて、
自分の子が中学生になったときを想像してみて、
今、子どもを育てながら働く一人の人間として、
自分の中のたくさんの自分と対面して、いろんな思いがこみあげてきた本でした。
家庭学習や子どもの教育についての本はたくさん読んだけれど、
ほとんどの本は、自身の教育方針について自身で書かれた本なので、
こういう第三者が一人の教育者について取材し、客観的に書かれたものは新鮮でした。
子どもの可能性って親が思っているより大きい。
それを引き出す努力を親や教師は怠ってはいけないと思いました。
作者がんばれ!
★★★☆☆
この本にでてくる太田先生はすばらしい先生なのだと思うのですが、作者の文章がつまらなくて、浅いです。作者でこれほど、読む気がなくなるのかと思いました。。。
文章力がなく、考えに深さを与えられないなら、事実だけをたんたんと書いてもらう方が、良いと思います。
太田先生が自身でかかれたものが本になったとき、また読みたいと思います。
自分にも厳しくなければ
★★★★☆
教育問題がいろいろといわれる中で、奇跡のようなお話です。
平凡でないからこそニュースバリューがあるのでしょうが。
取り上げられている太田氏は、あまりにも自分に厳しい方です。人としての価値を認められなかったという結婚生活の中で身についたものなのでしょうか。教育現場でなく、企業の中の人材育成という観点から読んでも参考になる点は非常に多いのですが、自分のことは棚に上げてという妥協点が見出せませんでした。
うーん。厳しいです。それほど怠け者ではないつもりですが、ここまでを求められると。完璧な成功は望まずに、太田氏のエッセンスをいただいて自分なりに消化してみましょうか。ただ、自分に妥協しないとことから始まってますからいいとこ取りは難しいのです。
仕事、指導、教育。考えさせられる点が非常に多いノン・フィクションでした。
真の教育の姿があります
★★★★★
現代の日本は、子供たちの為の、真の教育をしようとする者は、学校制度から反発を受けなければならないのだという事実を知りました。上ばかり見て、自分の保身を第一に考える教師ならば、生活は安泰なのかもしれません。日本の学校教育の制度そのものを根本から改革してゆかなければ解決できない問題なのだろうと感じました。
そんなカリスマ教師のすべてが、この一冊にルポルタージュされている、中身の濃い一冊です。