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エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交 (新潮文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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「食卓にこそ政治の極致がある」 ★★★★★
 私の記憶が確かならば、「どんなものを食しているのかを知れば、その人間の人格は
たちまちにして暴かれる」とは、かのブリヤ=サヴァランの名言。
 このひそみに倣って本書を要約すれば、どんなものを食べさせたのかを知れば、
その相手への思惑はたちまちにして暴かれる、といったところだろうか。

「メニューは雄弁である。……一片のメニューの、しかしその数行足らずの行間に、
客人に対するホストのメッセージがさまざまに織り込まれている。……政治のキー・
ワードは、料理とワインにおいてその姿を現す。外交儀礼の中で、食卓は政治の
深淵をのぞかせる、香り高い場となるのだ」。
 大統領と各国VIPの饗宴に供されるワイン、シャンパンの銘柄とヴィンテージひとつでも、
見る人が見れば、会の主催者がいかなる思いを相手方に抱いているかは読めてしまう。
 メニューのチョイスにも歴代大統領の性格は反映されている。
 何気なく並べられた食器にさえも、フランスの歴史が透けて見える。
 そうしたもてなしひとつでも、国内世論が決せられてしまうこともある。
 本書は筆者が語るように、「一風変わったグルメ本」の範疇をはるかに凌駕して、
「饗宴、プロトコールから外交を見る……これまでにない外交入門書」。

 もちろん単純にフランスの文化を知るためにも有用なテキストには違いないのだが、
本書の醍醐味は何を措いても外交上の狡知にある。
 外交の複雑怪奇、あるいはソフトパワーの重要性を語るにおいてこれほどまでに
説得的なテキストも稀少である。京都人も真っ青になるほどの婉曲さで仕掛けられ、
そしてなおかつこの上なく雄弁な食卓上のメッセージにただただ驚愕させられる。
 価値観外交を騙りつつも、それを理解する知力のない自称・愛国保守には到底
読み解けるはずもない。
美食と外交 ★★★★☆
 1996年に出た単行本の文庫化。
 著者は毎日新聞のパリ派遣員として7年間を過ごした人物。
 本書は大統領官邸であるエリゼ宮の晩餐会について論じたもの。フランスの外交政策とメニューを結び付けて分析しているのが面白い。主人役を務めるフランス大統領や主賓(日本の歴代首相、アメリカ大統領など)ごとにメニューが検討され、その裏には…と政治の話が展開されていくのだ。当時の国際状況、フランスとの関係にも言及され、説得力もある。
 厨房、ワイン係、食器についても綿密な取材がされており、非常に興味深い。
外交の極致は食卓にあり ★★★★★
古くから様々な国と隣接し、時には戦い、時には支配されるといった歴史を持つヨーロッパにあって、外交はまさに命懸けであろう。その外交のクライマックスとして、フランスの威信をかけ、フランス料理とワインが登場する。本書では、その料理やワインの”差”で、フランスの政治的立場や意見を示す様子が、実際のレシピを通して語られる。また、政治的には冷徹なまでにワインに差をつけるエリゼ宮(料理もワインも最終的には大統領が決定するらしい)であるが、首脳同士の個人的な付き合いは、別の話の様である。この本には、いくつかの事例が登場するが、暖かな心のこもった交流、クールな交流、嫌味や挑発など、実に人間的な側面が、外交にはあるようだ。政治の極致が食卓であるなら、外交の極致は食卓での人間同士の交流ではなかろうか。
また、この本には、大統領以下、おもてなしの様々なプロが登場する。彼らが一つの饗宴に向かって腕をふるい、一点に収斂する様子は圧感である。
斬り捨て御免! ★★★★☆
難しい題名がついていますが、内容は国賓を迎えるにあたってフランスがどういう食事でもてなし、その料理・ワインにはどういう意味があるのかという本です。
ある程度グルメな人でないと、読んでいてわかりづらいところがありますが(料理名、ワインの銘柄、その組み合わせなど)、社会人としては知っておいて損はないので、これを気に勉強しては?
著者が当然日本人なので、日本の首相・皇室がどのようなもてなしを受けたかについて詳細に説明があり面白さを引き立ててくれます。
個人的には、政治というよりも食に興味のある人のほうが楽しめるのでは♪
フランスの外交・食文化が絡み合う ★★★★★
 図書館で文庫本を借りて読みましたが、手元に置きたくて、中古でハードカバーを購入しました。主にミッテランからシラク大統領までの、他国VIPとの食事メニューからその外交的思惑を推し量るという内容ですが、後年読み直してもフランスの食文化の深さとそれに対するエスプリ、外交における富んだ機知を感じるのに十分な本となっています。 各メニューの解説には食事のみならず、ワインの年代・産地等が詳しく記されており、グルメやワイン好きの欲求も大いに満たしてくれるでしょう。しかしその奥に、自国の食材に政治的意味まで表現出来てしまうフランスの豊かさを感じずにはいられません。周りを他国で囲まれ、常に外国との接触・緊張があったフランスの外交手腕は、島国で鎖国さえ可能だった日本とはベースが違うといえるでしょう。 巻頭には実際に出されたメニューのカードのカラー写真が掲載されていますが、フランス絵画が用いられ、ここにも招待者に対するイメージ・表現を想像してしまうくらいです。 新聞記者の著作は質の高い簡潔な文章で書かれていることが多く、本書もサントリー文芸賞を受賞しているだけあって、実に高潔な文体・構成となっています。ぐいぐい引き込まれ、一気に読み進んでしまう、そんな本です。