色の説明があるのに、写真がカラーではない
という大きな欠点はあるものの
テイスティングの基本から世界のワイン産地の状況まで
幅広く丹念に記された秀逸な本。
ワインと共に歩んできた著者の人生に裏打ちされた
しっかりと、そして堂々とした内容である。

この本が日本のワイン愛好家の中でどういう位置付けかは知りません。
でも、たまにカルフールで買うワインが楽しみの単なる酒好きの私にとって
この上なく楽しいワイン解説書です。
初心者にも丁寧に、上級者の知的好奇心も満たせるように至れり尽くせりです。
ワインを開ける道具まで写真入で詳しく解説してあります。

決して高ければいいという金持ち趣味ではなく、
現実的な楽しみ方を教えてくれます。
ワインに関する知識って断片的に耳に入りますよね。ブランド名？　産地名？
それともブドウの品種名？っていう疑問をひそかに勉強して、
中途半端な薀蓄を語る奴を温かく見守ってあげましょう。
ブドウの代表的な品種名ぐらい知ってても人生損はないですよ。

まさにブリリアントなワイン講座である。
上・下があるが上においてはワインの総合的な知識が記されている。
あまり深い知識を持たない状態で読むとわかりづらい点もあり、
読み流すかもしれないが、
専門的な知識をある程度身につけてから読み直すと、その奥の深さに感動するであろう。
一通り本編を読んだ後に下に移行すれば、

さらに各産地毎の知識がさらに深く得られることは間違いない。
これは単なる文庫本ではなく、専門書と呼ぶべきものだ。