インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

まずいスープ

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
リアル版「フーテンの寅さん?」 ★★★★☆
 表題作には不思議な魅力がある。複雑な家族関係。というほどではないが、誰が家族で誰が家族でないのか、何がどうなっているのか…を、どうでもいいやとほっぽっちゃってる。勤勉な日本人が一人も出てこない。バックパッカーの息子、遺産でアパート経営をしながらアル中っぽい母、水商売の叔母、たばこを吸う女子高生のいとこ。
 極めつけが、フーテンの寅さんのリアル版のような父だ。息子の知り合いも父の知り合いも、とにかくみんなふらふらしてる。ここは本当に日本か?でももともとアジア人の生き方ってこうなのかも。みんな自分に誠実に生きてはいるし。やたら欧米ぶってる日本の方が不自然なのかも。
 併録の「どんぶり」中のハエの独白のみ、稚拙な感じでちょっとはずかしい。でもあとは面白い。よく考えたら、眉間にしわを寄せて真剣に取り組まなきゃ成らないことなんて、ほんの少ししかないのかもしれない気がしてくる。
ローファイ文学 ★★★★☆
近年の劇団関係者が書いたもののなかでは一番ではないか。

グランジというか、ローファイな空気感がいい。
90年代の音楽で育ってきた感じが、物語の世界観に大きく出ている。
正直、途中飽きなくもないのだが、まあそれも含めてローファイということで。

他の作家が書いたら殺伐としたり貧乏臭くなるものがこの著者だとならない。
書き手の品性が高いからだと思う。

しかし、芥川賞の選考委員は相変わらずダメだ。

そんな中でも、山田詠美が「いい味出してます。しかし、冗漫。途中で飽きちゃった」というのはわかるし、
意外にも慎太郎が「一番面白く読んだ」というのはちょっと驚かされた。じいさん、感性若いじゃん。

諸手をあげて「新しい文学の誕生だ!」とまでは言わないが(似合わないし)、
町田康の亜流の100倍はマシで、オリジナルだと思う。


ぼくのお父さんという作文 ★☆☆☆☆
常識もモラルもない環境にいることが特筆すべきことだと勘違いして文章化した作品。
表題にもなっているまずいスープも、物語のきっかけとして不味くなくても作品に然したる影響もない。
作文は、今まで学んできたことを振り返り、どんな意味や価値があったかを書くことだが、この本は「ぼくのお父さん」という題の作文としか映らなかった。
読むと血のめぐりがよくなる ★★★★☆
表題作がよい。よさを表現するのに適当な言葉がみつからない。奇妙に聞こえるかもしれないが、一種の礼儀正しさを感じる小説である。礼儀とはどういうことかというと、他者を見るのに先入観や思い込みからなるべく自由でいようとする、身の軽さのことである。また、相手との早急な一体感などを求めないでいられる、落ち着きのことでもある。
父をたずねて暖房のきかない車で凍えそうになりながら走る描写が好きだ。愛も恋も出てこない話だが、
生命の不敵な側面を描いて、読むものをほっこりさせる。