古川日出男「ロックンロール十四部作」、新連載!
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季刊の文芸誌。今回の特集は、「幽霊、影、分身」となっていて、幻想小説っぽいものを集めているが、いつもよりちょっとボリュームがあって、厚くなってる。
フォン・クライストなんて懐かしい名前もあるが、面白かったのは、中国の陳玄祐の「離魂記」。あらすじはどこかで読んだようだが、これが1200年以上の話かと思うと、人間の想像力の豊かさ、センス・オブ・ワンダーって昔からあるんだと感じる。
その他、しりあがり寿のコミックもいいし、白石朗氏のスティーブン・キングのホラーについての文章も良かったが、リチャード・パワーズ「オーバー・ザ・リミット」、ジェフ・ダイヤーがバド・パウエルについて書いた「ここはまるで降霊会のようだよ、バド」が最も良かった。特に後者は村上春樹が訳しているからという訳ではないが、天賦の才を失っていく芸術家の哀切が伝わってくる良い文章だった。
しかし、今回は特集よりも重大な出来事が。あの古川日出男の『ロックンロール七部作』の続編?、「ロックンロール十四部作」の連載が始まったことだ。ファンとしては、楽しみな新連載だけど、このペースでは、完結まで2年ぐらいかかりそうだ。