様々な音楽形式が渾然一体となり、
類稀な緊張感・ドライブ感・音の分厚さ・楽曲の美しさと、
奏者の歌心が堪能出来る必聴盤の『Piazzollaのタンゴ』
タンゴは人、タンゴは人生が理解出来るかと…。
ざわざわとした都会の騒音の中にシュプレヒコールが混ざり、それが加速されていく。そこにバンドネオンのヒネた短調の音色が切りこまれていく。つねに沈着冷静、しかしその中に納め切れないほどの狂気を秘めた旋律が刻まれている。
焦燥感っていうか追いたてられる感じというかいても立ってもいられなくなる感じがする、ちょうど首都高を180キロで走らなきゃならないような死と隣り合わせの焦燥感。そしてとても緻密だ。緻密さが狂気めいてる。全7曲一秒も息をつけない。
抑制されてはいるが確実に感情を吐露しているバンドネオンの音色に、敵意を持つようにぶつかっていくバイオリン。。。何を言っても、聴く以外に解りえないだろう。