子供がことばを獲得する様を通してヒトの理解を深める本
★★★★☆
この本は、「子どもにとっての言語の習得は、乳児に対して遺伝的に組み込まれた知覚機構を基盤として、身体全体を巻き込んでなされる営みである」と主張していますが、そのことが実に巧みな実証実験に基づいているのでとても説得性を持っています。
乳児に対して遺伝的に組み込まれた知覚機構は音楽の要素に深く関係し、言語の意味理解と使用が他者との身体を介した(発声、動作、表情など)関係によって可能になると述べられていますが、このことは、自身について内省してみてもナルホドと納得出来ます。
比較行動学者である著者の手法は、この本において、言語に対する理解を深めるだけではなく、科学の対象としてのヒトの理解と哲学的対象としての人間の理解の谷間を少し埋めていくものではないかとも思います。
言語を習得するとは
★★★☆☆
大人になってから、新たな言語を覚えようとするものにとって「子どもはことばをからだで覚える」という題名は、強い興味と関心を引き起こした。母国語をどのようにして学んでゆくのかについて、誰でもいつかは話すようになるのだからと、いとも簡単に考えてしまっていたが、これほどの事が関係していたとは思いもよらなかった。すでに言語を話すものにとって、単語の区切り、文の区切り、言葉の意味などを判別するのはそれほど困難ではない。しかし、意味ある声を出すことすら出来ない赤ちゃんが、母親の声から、単語のまとまりを感じ取り、意味を理解し、言語を用いるようになっていく段階の説明は、意外性があり納得させられた。協和音を生得的に好むということや、ゆっくりしたテンポで高音の子ども向け!歌への先行嗜好が心に組み込まれていることが、言語習得を遂行してゆくための最も効率の良い、生物としての人の遺伝的プログラムであったと想像されるという部分は、聴覚障害の親をもつ赤ちゃんの実験結果や、種々の実験結果が示され興味深かった。耳の聞こえない赤ちゃんも、聞こえる赤ちゃんも、言語の習得は、運動や笑いなど体全体を巻き込んでなされる営みであるという点は、大人が新たに言語を学ぶ以上の複雑な大偉業なのだと感心した。
「言語を習得するということは」
★★★☆☆
大人になってから、新たな言語を覚えようとするものにとって「子どもはことばをからだで覚える」という題名は、強い興味と関心を引き起こした。母国語をどのようにして学んでゆくのかについて、誰でもいつかは話すようになるのだからと、いとも簡単に考えてしまっていたが、これほどの事が関係していたとは思いもよらなかった。すでに言語を話すものにとって、単語の区切り、文の区切り、言葉の意味などを判別するのはそれほど困難ではない。しかし、意味ある声を出すことすら出来ない赤ちゃんが、母親の声から、単語のまとまりを感じ取り、意味を理解し、言語を用いるようになっていく段階の説明は、意外性があり納得させられた。協和音を生得的に好むということや、ゆっくりしたテンポで高音の子ども向け!歌への先行嗜好が心に組み込まれていることが、言語習得を遂行してゆくための最も効率の良い、生物としての人の遺伝的プログラムであったと想像されるという部分は、聴覚障害の親をもつ赤ちゃんの実験結果や、種々の実験結果が示され興味深かった。耳の聞こえない赤ちゃんも、聞こえる赤ちゃんも、言語の習得は、運動や笑いなど体全体を巻き込んでなされる営みであるという点は、大人が新たに言語を学ぶ以上の複雑な大偉業なのだと感心した。