『8時だョ!全員集合』の製作現場、裏側を、ドリフのメンバーの変化を、知ることができる。
『全員集合』世代には懐かしく、そうでない人でも、かつてあったお化け番組のエピソードの数数は、興味深いだろうと思う。
番組の目玉は、前半のコントだった。生放送で、大掛かりな仕掛けを使い、しかも毎週、違ったコントを作っていたのだから、それは並大抵の努力ではなかったと思う。本書には、所所にそのセットの写真や絵が載っている。その絵(図面)もまた、懐かしさと想像力が広がると同時に、こんなのを毎週造っていたのかと、感心した。
今は、DVDが出ているので、16年間にわたって放送された内容のほんの一部であるが、見ることができる。この本と併せて、楽しみたい。
また、いかりや長介の『だめだこりゃ』も併せて読むと、2倍楽しむことができるだろう。同じ出来事に対して、いかりやと居作とでは、まったく違った見方をしており、それぞれがそれぞれの思うことをそれぞれの本で書いている。その両方が楽しめるからだ。
本書も、文庫版が出ているので、そちらの方が手に入り易いだろう。
ドリフの誕生から、怪物といわれるまでの高視聴率番組への成長を内側から書いています。当時の人気アイドルまでもが一緒にコントをやりたがったドリフターズ。それでも最初はまったく観客に相手にされなかった志村けん、ストイックなまでにお笑いにこだわるいかりやの素顔も垣間見えます。
当時の舞台の詳細な図面や、淡々と書かれたコント説明の文章だけでもかなり笑えます。
『8時だヨ!全員集合伝説』 居作昌果:双葉社
あの『8時だヨ!全員集合』の元プロデューサーであった著者が、番組立ち上げはもとより、ドリフのメンバーの生い立ちから、番組制作にかかわるさまざまなトラブル、番組を終わることになった経緯など、当事者として余すところなく記した本です。
本著の中には、番組に関わる著者とチョーさんの様々な対立、反目が記されていますが、それは番組制作サイドあるいはザ・ドリフターズのリーダーとしてのお互いの立場の相違から来るものであり、特に著者は、チョーさんを一人のプロとして非常に認めていることが読み取れます。
これを読むと、『8時だヨ!全員集合』が視聴率が良いから長寿番組になったのではなく、本物の男たちによる本物の番組であったからこそ、長寿優良番組となったのだと強く感じる一冊です。