「金が時価より安く買われても、わずか数ドルの文句を言うな」とは?
★☆☆☆☆
ドルの崩壊についてはYahoo!のロバートキヨサキのコラムで
無料で読める程度のもので、今更という感じのものばかりです。
資産運用については金を買うことを強く勧めており
いかにハイパーインフレが起きた時に金が有利か、ローマ
フランス、ドイツ、アルゼンチンの歴史を紹介しています。
しかし皮肉にも、それらの歴史を読むと、金も絶対のものでなく
需要のあるものであれば何でもいいように思えてきます。
ローマやアルゼンチンはインフレだけで破綻したわけではないですし
フランスやドイツが今現在どうなっているかを考えれば
金の重要性がどの程度のものか、わかりそうなものです。
中国が分散投資をしているからといって、それに何の意味があるのか
著者はLTCMの出来事を全く理解できていないようです。
「この世の中に安全なものなど無い」と考える方が安全です。
通貨崩壊のプロセスを論理的に解説する良書
★★★★★
ドル崩壊という大仰なタイトルで煽るだけで
中身がない本とは一線を画し、
なぜドルが崩壊するのか、
アメリカ経済の現状分析および、
かつての歴史を振り返り、
いかにして通貨が崩壊していったかを、
詳細に書いているので非常に説得力があるし、勉強にもなる。
また第四章ではドルが崩壊した際、
他の資産がどのように動くかも書かれているので、
投資する際、気をつけるべき点がわかるのですごくいい。
これが、リアルな投資家の視点
★★★★★
「ドル崩壊」という毎度見慣れた刺激的なタイトルだが、内容は堅実だった。
本書を通して一貫しているのは「金(ゴールド)」が全てという論調。
残念ながら、その論調全てに私個人としては賛同できかねた。
しかし、多くの学びを得た。
まず世界経済の中で、日本の置かれたポジションが本書を通して見えて来た。
また、隣国・中国の投資戦略に付いても記述があり、参考になった。
それは、多くのドルを保有する日本に対して、中国は世界の株式や資源(石油や金など)に
分散投資をしている、ということ。彼らは国として戦略的であるという点。
なるほど、古紙回収やスクラップなど昨今、巷のニュースと符合する事象だ。
これからは、資源をめぐって各国しのぎを削るという。
著者ジェームス・タークは、アラブ首長国連邦の政府系投資ファンドで
オイルマネーを海外で投資・運用した経験を持つ。
本書を通して、現場でしのぎを削った者が語るファンデメンタルな投資基準を学んだ。
同書の「序文」にある政治家や知識人の観点でない、リアルな投資家として叩き上げて来た
筆者のユニークな視点に触れる事が出来る。
専門知識を持つ筆者の本音を学べる、大いなる参考書。評価を5つ星としたい。