ぬるい
★☆☆☆☆
プラネタリウムの立ち退きを巡って、契約遂行を迫る高慢な男と守ろうと頑張る健気な高校生の対立と恋のお話?らしい。
感想を一言で言えば「ぬるい」。作者の文章表現力が幼稚。
コンサルティング会社社長の相澤は仕事ができる男らしいけれど、仕事のシーンでも具体的な表現や台詞が全くなく、読み手に「できる男」を感じさせない。最初のシーンも重要な建設予定地の内容を左右するものであるにも関わらず高校生と交わす契約は具体性のない漠然としたもので、とてもできる男には思えない。(しかも「エクス高玉川」は読み進めていかなければ何を目的にした建物であるのかが読者にはわからない不親切さ)
比してプラネタリウムを守ろうと必死な高校生も、周りが彼に「頑張っている」という言葉を向けるだけで、読者にはどんなに彼が頑張っているのかが分かりずらい。一ヶ月で赤字のプラネタリウムを建て直そうというわりには図書室で調べ物だのポイントカードだの、そんな悠長な事で自分は必死なんだ、と考えている処で子供過ぎる。最終的なアイデアもそんなもので画期的な改革が望めるものか。というもので不満が残った。(せめて結婚式のアイデアの方を持って来ればよかったのに)
指輪のシーンは悪くないし、高慢な男相澤が唐突に恋に落ちたのもその恋に必死なのもいいとしても、高校生美晴は十代よろしく感情が常にぐるぐるしていて喜怒哀楽が激しいというよりも単に落ち着かない感じ。
恋愛はともかく、仕事の面では全てにおいて「ぬるい」としか言いようがなくて星1つ。