①全訳がないこと
②方言が豊富な文章や、ヘタな文章、未来派宣言の文章や詩作品など、日本語にするには工夫を要するものや、あるいはたとえ最初から日本語で読んでも内容が理解できないような難解な文章が含まれている点
が挙げられる。
初級レベルを終え、中級レベルの読解演習をスタートさせたばかりの学習者にとって、いきなりこのようにハードルを高くされたら、わからないことばかりで学習意欲を失う可能性があるのではないだろうか。
しかしながら、絵や写真などがわりと豊富で、冒頭にも述べたとおり多方面から文章を寄せ集めているため、あまり知られていないイタリアの姿(文学や思想など)の一端を学べるという利点がある。イタリア文化の諸相を知るという目的での活用には良いだろう。
また、東大出身者にとっては、あの「強要」英語教材「The Universe of English」と同じ体裁なので
あの本にロクな思い出のない方は拒否反応を示すでしょう。
本書は、指導者のもとで授業を受けることにより
はじめて満足な解釈に到達できるテキストであり
独習用には消化不良が残ります。
伊藤和夫氏の英文解釈テキストのように
真に独学者のための読解テキストの登場が
イタリア語の世界でも待たれます。