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誤解だらけの「危ない話」―食品添加物、遺伝子組み換え、BSEから電磁波まで

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: エネルギーフォーラム
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不安便乗ビジネスとしてのメディア。 ★★★★☆
「食品添加物」「遺伝子組換え作物」「残留農薬」「ダイオキシン」「BSE」「電磁波」など、実際に健康を害するリスクはほとんどゼロと言ってよいのに、メディアは不安を煽る情報を流し続ける。自身も過去にそのような記事を書いてきたという著者が、そのメカニズムを明らかにする。

そこには、「危ないことを伝えるのが記者の正義だ」という記者魂や、メディアのもつ「危険好き」「平穏嫌い」という固有の性質、根拠を重視しないメディアの姿勢、受け手である消費者の嗜好などの要因が絡み合っている。

著者は、メディア情報をチェックして、第三者的な目で見た別の情報をメディアや消費者に伝えていく「リスク情報機関」の必要性を説く。同感である。「正しい知識を得ることが国民の権利である」と国はなぜ考えないのか。英国の国民健康保険(NHS)が提供する"Behind the Headlines"に相当するものが日本でも欲しい。
情報の受け側が考えるきっかけに ★★★★★
まず、マスメディアの中の人自らが書いていることに敬意を表したい。
この人はキャリアも積み、失うものは少ないのかもしれない。
だとしても、今まで自分が関わってきたことを半ば否定するわけだから、それなりのプレッシャーはあると思う。

不安、危険に関わる報道が、マスメディアにとっていかにおいしいかが分かる。
要するに、不安報道は彼らにとってリスクが少なく、一般の支持を得られやすいのだ。

原因の一つには、戦後の経済成長やテレビの発達にあると思う。
決して日本だけが不安を助長する報道をしているわけではないが、特有のやじうま気質もあるのかもしれない。

是正するためには、情報を受け取る側が自分で考えることだ。
そして、メディアに意見を言ったり、不買(不聴)の行動をとっていくしかないと思う。
本書を100%信じる必要もないが、物の見方にはいろいろとあり、報道は部分しか伝えていないということがよく分かる。
こういう類の本がたくさん出てくると、状況も変わっていくのではないかと感じた。
メディア報道のあり方を問う本 ★★☆☆☆
サブタイトルにある話題には、誰しもが少なからず興味を引かれると思う。
その興味を抱かせるものは、人の不安心理にある。

健康被害や環境汚染の原因は全て人間が自ら作り出してきたものであり、
自然とは対極にあるものには、少なからず不安が付きまとうこととなる。
マスコミは、人の注目を集める手段として、これら不安を利用し、
その結果、安全に対する負の報道のみが過剰なまでに世間に溢れ出てしまう。
その受け手である我々には、もはや公平に物事を判断することは極めて難しい。
著者は、これら報道に日々毒されることで、間違った自然信仰に傾く風潮にも懸念を抱き、
マスコミ報道のあり方に警鐘を鳴らす。

この本は、サブタイトルの話題に何らかの回答を示すものではなく、
情報の受け手である読者に、公平で冷静な判断を促すものと感じられた。
個人的には、この本のタイトルそのものが不安心理を利用しているように思えてならない。
読んだ後の満足感は、今一つ得られなかった。
記者の善意と正義感が「ゆがみ」を生む ★★★★☆
毎日新聞の記者さんの本だそうで。
自らの自戒を含めて書かれていて、記者の心情が分かりやすく表現されています。

メディアの本質的な性格、情報の受け取り手としての読者側の注意点、具体的な対策の提言 まで記述されていて、よくまとまっていると思いました。

遺伝子組換とか添加物とか、言葉だけでマイナスイメージを持ってしまうのは、ナンセンスだと教わりつつも、それでも避けられない気がしました。記者の皆さんも(著者がかつてそうだったように)、消費者心理に配慮して、善意と正義感で報道する。簡単には解決しない問題だなと。。
いち消費者として、日ごろからよく勉強することも大事だが、著者が言うように、報道側の「メディアパトロール」的な取り組みは効果があるように思うし、期待したい。

どんな情報でも鵜呑みには出来ないのですが、あまり懐疑的なことばっかり言ってると、嫁さんから「いやなヒト」と言われそうな気も。。
情報の読み方入門 ★★★★★
 危ない話に対する誤解の原因として、安全商品の販促、マスコミの無能無知が原因となる科学的誤り、その誤りを訂正しないマスコミの体質。後に安全だという新知見がでても記事にしないこと、つまり危ない記事の方が人気があるという消費者の問題。伝聞による情報の変質。などが書かれており、これらの話題に関して疫学的(統計的)考え方の重要性が述べられていることが評価できる。
 すべてのものには良い点と悪い点が存在し、その得失が分離できない場合、利得が大きければ多少の危険性は甘受することが必要である事を力説している。その中には生命の価値を金銭で評価することや環境問題からの観点の必要性も述べられており評価できる。

 これらのことをふまえ適切な情報を発するため、メディアを教育することの必要性、第三者機関やNGOのような組織による情報の質の管理についても「メディアパトロール」という造語で政治的解決を提案している。
 最後に、科学技術に対する「何となく気持ち悪い」をクローンや遺伝子操作で説明しており、人間の感情の解決の困難さを嘆いている。
 
 内容が広く、個々のテーマへの踏み込みが浅いが、「情報の読み方入門」としてお薦めです。学校でも本書のような考え方を教育してほしいものだ。浅いとはいえページ数にして後半の約半分を費やしており、第6章以降に本書の価値がある。同時期に読んだ、「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学(光文社新書)」よりもかなり的確な視点で問題を捉え解決策を提案している。感情的な記述も少なく好感が持てる。唯一の不満は、科学を知っているからこその不安、つまり科学者の第六感(ひらめき)が書かれていないこと。このひらめきこそが科学の革新もたらしてきたのであるが、まあ、本書のテーマを考えると(たとえ筆者は気づいていたとしても)おくびにも出すまい。