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ビルマとミャンマーのあいだ―微笑みの国と軍事政権

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 凱風社
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ビルマ人は二回まで許す ★★★★☆
過去2回、ビルマを訪れたことがある。もちろん一般の旅行者としてだが、ただの旅行者の視点では、ビルマは敬虔な仏教徒の人たちが住む、たおやかで優しい国のように感じられた。だが現実には軍隊が実権を持つ軍事独裁国家であり、秘密警察が暗躍する非民主国家である。微笑みの顔と、冷徹な顔。そのどちらがビルマの本当の顔なのか。本書のタイトル「ビルマとミャンマーのあいだ」には、その想いすべてが込められているように思う。ビルマの上っ面を巡るだけでは決して見えてこない真実の姿が本書にある。全土をくまなく訪ねてフィールドワークした好著だが、ある程度ビルマについての基礎知識があったほうが読みやすい。また、ビルマ旅行のサブガイドとして活用してもいいだろう。旅行ガイドブックだけでは分からない、ミャンマーの深部を理解する手がかりになるはずだ。なおパガン仏教遺跡について気になる記述がある。本書内で作者はバガン仏教遺跡群が世界遺産であると述べているが、調べた限り2008年7月の時点で世界遺産の登録暫定リストには載せられているものの、正式登録はされていないようだ。このあたりは正確に記述して欲しい。本書ではこのパガン遺跡の保存状態についても述べられている。修復は歴史的価値を無視した粗雑なもので、良好とは言えない状態とのこと。パガンの遺跡は、アンコールワットに匹敵、またはそれ以上の仏教遺跡である。世界遺産に登録されないことがビルマの国家事情の影響なのであれば、悲しいことだ。本書の中でビルマ人からの言葉として「ビルマ人は2回まで許す」とあった。1回目は知らなかった可能性があるので見逃す。2回目はやむにやまれぬ事情があったのだろうと恩情をかける。しかし3回目は許さない。デモを武力で鎮圧し、死者をも出し、国中で敬われる仏教の僧侶にまで弾圧を加える現政権を、国民は何回まで許すのだろうか。
ビルマ/ミャンマーの国と人々の歴史と今を伝える貴重なルポ ★★★★☆
前著で、インドネシア東部の辺境ヌサトンガラ諸島の興味深い「バックパッカー旅行記」を描いた著者が、今度は現在ジャーナリズム的にも話題の多いミャンマー/ビルマの生の姿を届けてくれた。第二次大戦前後の日本との深い関係もあり、また仏教国でもあることから我々にとっては親近感のあるビルマであるが、現在マスメディアに出てくるミャンマーは、北朝鮮との関係や軍事政権によるアウンサンスーチーの自宅軟禁、そして最近時は2007年9月に発生した暴動の際の日本人ジャーナリスト射殺事件と、余りに暗いイメージだけが流布されている。確かに著者が訪ねて廻るミャンマーの多くの場所にはそうした閉鎖的な軍事政権の影が端々に影を落としている。しかし著者の真骨頂は、この国の60%を越える人口を持つと言われる辺境少数民族地域にまで足を延ばし、その歴史を踏まえながら、彼らの生活をルポしていることである。中央政府を牛耳るビルマ人との長い軋轢と抑圧の歴史を送ってきたカレン人やカチン人を始めとする少数民族。こうした辺境少数民族の過去と今を伝える著者の視点は歴史に厳しく、彼ら少数民族に暖かい。このルポを通じ、読者はこの国の複雑な成り立ちと現在を知ることが出来る。その意味で、これはマスメディアを通じた情報がそもそも少ないビルマ/ミャンマーという国とそこで生きる人々の過去と現在の生の姿を知るための絶好の案内書である。