民族問題を考える上で有益な一冊
★★★★☆
ローマやロシア、オスマン帝国など様々な諸文明・帝国の影響、支配を受けてきたバルカン地域。やや日本人にはなじみは薄いが、「火薬庫」として知られるなど、紛争問題も多い。
本書はこの地域の本邦初の通史として、正しい歴史像の理解とパースペクティブを提供してくれる。多様な民族の移動、征服などその歴史はダイナミックで興味は尽きないし、また現代の民族紛争の背景も理解できる。
「民族」や「国家」というものを学術的に相対化する上でも示唆するところの多い一冊といえよう。
バルカン通史
★★★★☆
書名のとおり、バルカン地域の通史です。そもそもバルカンという名称でどの国・民族を指しているのか、その文化的・環境的理由を述べる序章から始まり、古代から九十年代までをフォローしてます。編者も述べているように、この地域の研究に当たっては、言語の壁などもあって、一人の方が通史を書ききるということは特に難しいようで、五人の研究者の手になる編著となっていますが、それでも、全体的にはそこそこ通りがよい叙述になっているかと思います。特に九十年代の紛争に焦点を当てるという意味では、同編者の『ユーゴスラヴィア現代史』の方が簡潔で分かりやすいですが、より本格的にこの地域の歴史を知りたいという方には、本書は起点として有用ではないでしょうか。
なかなか
★★★★★
良い作品です。ちょっと厚みがある本ですが…。読みごたえのある作品です。面白い。