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日本のたくみ (新潮文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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たくみがモノに籠めたわざと心意気を白洲正子さんが語る ★★★★★
 自身も染織工房を主宰していたという白洲正子さんが、さまざまな伝統工芸の作り手を取材し、そのたくみぶりを著した作品。工芸については殆んど知らない自分にも、作り手のわざの様子や心意気が伝わってくるような名調子が目白押しだ。

 読み終えてみると、モノに全身で取り組むたくみたちの姿が、白洲正子さんのほかの著書で取り上げている古代日本の人々の心性や、多く引用される古典作品に息づくこころばえと重なっていることに気づく。たくみがモノに取り組む様子には神聖なるモノに取り組む人々の姿が見えてきて、櫛や箸などはそのものといった感じだし、何事か真剣味のある人々の美しい姿をこそ白洲正子さんは追い求めたのかな、と思った。そんな人間の美しさが読み取れるからこそ自分も白洲正子さんの著書を読み続けているのかもしれない。その美しさは希少で、逆に人の醜さにはいつでも出会ってしまえるものだから。

 この文庫は普通の文庫より上質な紙を使っていて、カラー写真もいくらか載って、たくみのわざを垣間見ることも出来る。興味のわいた人は是非どうぞ。
背筋の伸びた文。 ★★★★☆
長野はやっと本格的に雪が降りました。
見慣れた世界を真っ白に塗り替えていく雪景色のなか、久しぶりに満足しながら本を読みました。
白州正子が日本中の職人を紹介した一冊。
ただの紹介本にとどまることなく、読み手を凛とした気分にさせるのは、人を語ることでつまり自分を語ることになっているからでしょう。
白州正子の背筋の伸びた文を読んで、しばらく会っていない女友だちを思い出したのでした。きっと元気でやっているんだろうな。
職人の力 ★★★★☆
 1981年に出た単行本の文庫化。
 日本のあちこちに匠を訪れた記録。扇、染色、石積み、櫛、刺青、印伝などが取り上げられている。
職人というのは頑ななものだが、その心にスッと入り込んでしまうのが凄い。さすが白洲正子だ。そして匠から巧みに話を聞きだしてしまう。余人には真似の出来ない芸当であろう。
 そこで語られる匠の世界は、やはり一般の世界とはどこか違っていて、偏屈であったり、一徹であったりする。その偏りのなかから、素晴らしい道具が生まれてくるのだ。
 ただ、この種の作品では避けがたいことなのかも知れないが、どこか白々しさが漂っているようにも感じた。ほめすぎというか、心酔しすぎというか。でも、それでなければ匠の話は聞き出せないのだから、難しいものだ。
白州正子にしか書けない。 ★★★★★
工芸を構成する主たる要素だけではなく伝統文化を支える職人世界まで縦横無尽。砥石から城壁の石積み、さらに贋作、そして刺青と、まさに白州正子にしか書けない「たくみ」がぎっしり詰まっている。もちろん白州さんらしく論旨明瞭で簡潔。同時に、職人を訪ね、その時々の息を呑むさまや溜息などもヒシヒシと伝わってくる。楽しみながらも真剣そのものの姿勢で書き上げられたこれらの短文には、読む側も五感を総動員しながら白州さんの目線に合わせることで、彼女の遥か向こう側への連想にかろうじて同行できる。そこも楽しめる本だと思う。最後に「後記」をどうぞお楽しみに、と付け加えておきたい。表紙に使われた染物が何であるかを知ることが出来る上に、なぜそれを白州さんが掲げたか、その心もきっと伝わることだろう。
たくみの姿勢 ★★★★★
 たくみの仕事に対する姿勢に、こちらまで姿勢を正さずにはいられなくなる。
 現在著名な志村ふくみ、福森雅武、川瀬俊郎、村瀬明道尼(NHKほんまもんのあんじゅさまのモデルと言われる方)への20年程前の取材記事
も載っていて、興味深い。

 また、レビュー者個人的には「たくみ」と考えるには禁止のかかっていた刺青をもとりあげられており、臨場感あふれる記述にひきこまれる。