とにかく、この本には無茶なことは書いていない。著者が経験の中で悟った純粋な感想なのだろうと思う。個人的には、投資を無理に勧めはしないが、わけの分からない金融商品にはだまされることはないようにこの本で勉強してみるのも良いとおもう。
そういうわけで、たまたま目に付いたこの本だが、最初の心得編に書いてあるのが”一寸先は闇”という言葉。もうそこで読むのを打ち切ろうかと思ったくらいだが、そのあとの実践編ではバランスシートとか、キャッシュフロートか、現在価値と将来価値の定義などなど。プロのディーラーによる個人投資家向けの啓蒙書という意味で、たぶん基本的なところがしっかり押さえられているようだ。少なくとも、聞いたことのある用語の定義が、私の常識と矛盾無く理解できるように、興味のある順序で示されていた。
この本を読み進みながら、さっそく株を買ってみようかという思いがわいて、あれこれと会社情報を収集すると、いくつか興味をそそられる会社があった。インターネットを使うだけでもそれなりの情報が得られる。たしかに株を買うというのはある面の社会情勢に興味を持つきっかけとしても良いようだ。
ところで”一寸先は闇”という言葉には悪い意味を読みとらずたんに”先のことはわからない、良いこともあれば悪いことも起こる”という解釈もある(こっちの方が普通かもしれない)。たぶん著者が言うのはその意味なのだろう。どうなるかわからない中で、どうしたら市場の中でより多くの利益が出せるか、それを人にだまされたり、人をだましたりせずにやるための入門書が本書だ。人にだまされないためだけにでも、本書の内容程度のことは知っていたほうが良さそうだ。