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地域学のすすめ―考古学からの提言 (岩波新書 新赤版 (793))

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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日本全域に興味が湧きまくるかも ★★★★★
 考古学者の森浩一氏が、「地域学」の視点で日本各地の考古資料をきっかけにした思考を広げてみせる著作。「はじめに」「地域学の可能性」「関東学と東海学」「海峡は文化を育てる」「シナ海と島々」「日本海文化」「おわりに」と分けられた各章は、ここで選ばれた地域にコンパスの軸を置いた独特の歴史像をそれぞれ示してくれる。各章の分量は少ないが、その分だけ読後に読者が想像・妄想できる余地があって面白い。考古資料をたたき台にしてるだけあって古代史・中世史のはなしが多いのが、自分の好みとあってよかった。

 全体を読み終えた後には、日本全域で興味の湧かない地域がほとんどないくらいに、日本のどこへでも行ってみたくなる。これからも機会があれば日本各地に行ってみたいと思わせてくれる。所縁のない海外に行って散財するぐらいなら日本国内でお金を使ったほうがささやかながら日本経済に貢献できるし(半分冗談半分本気です)。ともあれ、地理的にも歴史的にも面白く、手軽に読める新書。
考古学は地域に勇気を与える ★★★★☆
中央史観からの脱却が叫ばれてから久しい。しかし、それに対抗するだけの歴史書も資料集も作られていないというのが実情である。それはある意味当然であって、古代資料のほとんどは大和発信なのだから、たとえば蝦夷の歴史を書こうとしても、大和に反乱を起した資料を読み変える他は無かったのである。しかし、考古学は純粋に地域発信の資料である。豊富な考古資料を駆使することで新たな歴史を書くことができるのではないか、それが森氏の問題意識なのだろう。「ある地域史の研究だけで日本歴史が出来上がるわけではなく、これからは各地の地域史の成果を総合するという気の遠くなる研究が必要になるだろう」これは森氏の問題意識だけではできることではなく、次代の研究者が自覚的にしなくてはならない㡊??とではある。この本が書かれた所以だろう。『考古学は地域に勇気をあたえる』そしてそれはきわめてやりがいのある研究なのだろうと思う。

私の問題意識で印象に残った記述を抜書きしてみる。○東京湾は近代史以来の言葉をつかって言うのは不適当。総、武蔵、相模の文字をとって「総武相の内海」と仮称した。この言い方で言うと伊勢湾も「三尾勢の内海」と言ったほうが良い。○ゴホウラ貝の腕輪で分かったが、丹後と尾張が弥生時代に結ばれていた。○瀬戸内海は無数といっていいほど様々な海峡がある内海である。2~3キロ行くと海峡があり時刻で流れが違う。そういうことを知らないと、レーダーなどを備えた船でも座礁したりする。○縄文人は八丈島まで行っていた。松江市の小学校の先生が丸木舟で隠岐の島!まで行く実験をした。早朝にでて、夕方に着いた。○漁村の子供たちは父親から徹底的に叩き込まれるのは先ず『山当て』の技術、何月ごろはどういう潮が流れるか、風はどこから吹くか覚える。○日本海沿岸は太平洋沿岸と違って、海岸近くに秀麗な形の独立した山があり、それが港の目印になっていることが多い。鳥取県淀江町の高麗(孝霊)山、島根県太田市の三瓶山、山形・秋田県境の鳥海山はその代表例。