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武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

価格: ¥7,059
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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国際紛争の実際 ★★★★★
平和論、戦争論の本は数多あるがこれほど「現実主義」で現場主義の本はなかなか無いだろう。

タイトルの「武装解除」とは紛争地の軍閥解体の最も確実な方法で、彼らの部下の民兵から1.武器を取り上げ、2.部隊を解体し、3.社会復帰させる一連のプロセスをいう。著者はこれをシエラレオネとアフガニスタンで行っている。

著者は他に東ティモールで暫定政府県知事も勤めている。このように複数の紛争現場体験の本を読んだ事が無かったので大変参考になった。数ある国際紛争の中で例外的に円満解決した東ティモールと比べ、シエラレオネとアフガニスタンではより複雑な事態が絡む。著者は武装解除によって「殺人犯」の社会復帰に力を入れすぎると被害者側から不満が出る、そのバランスの難しさを語る。

「紛争屋」ならではの国際貢献論も見所だ。日本は自衛隊より軍事監視員(元軍人を非武装で国境に送り紛争解決の仲介をする)にこそ力を入れるべき、資金援助には条件をつけるべき(著者は実際に援助と引き換えに政府の軍閥色を払拭した)など同意できるかはともかくきわめて中身が濃い提案がなされている。
現場からの「平和構築」論 ★★★★★
本書は、「紛争屋」として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンにおいて紛争後の平和構築に携わり続けてきた筆者が、自らの体験を基に現場からみた「平和構築」の実際を活写するものだ。本書を読むことで得られる視点は、「平和構築」とは、その字義が抱かせるような甘く希望に満ち溢れた活動ではなく、武力を背景に、武装勢力間の政治力学を理解しながら、一つ一つ地味で現実的なプロセスを遂行していくという活動であることだ。

東ティモールでの暫定政府県知事としての活動を述べながら、筆者は「平和維持活動は、『抑止力』であ」ると主張する。(P55)つまり、国連の平和維持活動軍が、他の武装勢力を武力で圧倒して、いかなる戦闘も未然に回避すること、それこそが平和維持活動であるということだ。平和とは武力なしに黙っていても自然と生まれるものではなく、武力をもって圧倒し、治安を維持することで担保されるという逆説的な真理がここにはある。

また、シエラレオネでのPKOミッションにおいて、筆者は平和構築に不可欠な武装解除を完全に行うプログラム、「DDR」に携わっていく。DDRとは、Disarmament(武装解除)、Demobilization(動員解除)、Reintegration(社会再統合)の略であり、戦闘員の武器を取り上げるだけでなく、戦闘部隊を解散し、戦闘員が社会復帰できるように職業訓練まで組み込まれた一連の武装解除プログラムだ。だが、現実の世界では簡単にD→D→Rのプロセスを進めることができない。職業訓練によるモラルハザード、動員後の元戦闘員間の資源への争い、武器の数の特定等、手さぐりかつ不安定な現実のプロセスを踏みながら、筆者はシエラレオネでのDDRをやり遂げていく。

一方、日本政府の特別顧問としてアフガニスタンのDDRの遂行に向かった筆者に、困難な壁が立ちはだかる。アフガニスタンでは、武装勢力を圧倒する抑止力が存在しなかった。シビリアンコントロールでなく有志連合型多国籍軍により任務が遂行されているため、軍事の文脈で政治が行われる余地があった。

以上のような、「平和構築」という一見希望に満ち溢れた印象とは違い、平和を作るための泥臭い現実の過程を、筆者の現場での体験を追いながら理解することができる。
紛争地域との関わり方 ★★★★★
テレビで見る自衛隊のイラク派兵なんかとは違って、戦争・紛争地域化での国際協力というものがいかなるものか、その現実を見せ付けてくれる。

一般人は戦争が終わってしまうと途端に無関心になってしまうが、その後の平和構築にどのような苦労とコストが必要となるのかがわかる良書。
国際貢献とは何かを考えさせられる ★★★☆☆
 国際貢献のあり方を考える上ではとてもよい資料です。
その意味で多くの政治を生業とする方々にも読んで頂きたい。
和平の達成は綺麗事だけでなしえないという現実にはハッとさせられましたし、
自衛隊を海外派兵せずとも国際貢献が出来るとの筆者の提言は、ぜひ国会で議論していただきたいと思います。
 ただ個人的には本書の内容には若干の違和感も感じるところもあります。
まず、自衛隊の海外派兵=右翼的な発想と断じている事。
続いて憲法9条は改定すべきではないという護憲論に至り中立というよりむしろ左寄りな印象を受けます。
実際の活動とその功績に裏打ちされた上での到達点ではありましょうが、だからといってそれが正しいかどうかは議論の余地があるとも思います。

今度は隣の迷惑国家達とどう付き合うかというテーマで著者の著書が読みたいと思います。
おおむね星5つの内容ですが、上記の点において非常に違和感を感じるので星は3つです。
事実は冒険小説よりすごい ★★★★★
ひょんな事から著者の東チモール県知事時代日記ブログ(?)を見て、俄かには信じられませんでした。これが事実であることを、こんな仕事人がいることを。その後、著者のブログをむさぼるように追いました。本になると、現場の荒々しい息遣いはノイズキャンセルされていますが、スピリッツとして明快です。5月27日のNHKプロフェッショナルには、国連高等難民弁務官事務所ウガンダ・リラ事務所長高嶋由美子さんが登場、また、国連・法の支配・保安機構事務所DDR Sectionでは2007年12月以降、アヤカ・スズキ(AyakaSuzuki)という日本人女性がチーフを担当している。(wikiPediaより)とか、誇れるエリートがもっとクローズアップされるといいと思います。日本の子供たちのヒーロー、ヒロインとして。