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夕映え天使

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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よかったです。 ★★★★☆
泣かせるだけじゃなく、程よく毒も感じました。

表題作「夕映え天使」はまさに人生、まさに小説。
個人的に軽井沢が近いので情景が浮かびました。

「特別な一日」の展開には驚かされました。
泣いちゃった(笑) ★★★★★
浅田次郎の短編集は気をつけなければ・・・・・・・と思っていたが、またしても泣かされた。
何だろうか?読んでいると風景が其処に浮かぶんだ。目の前に物語の中で立っている自分が・・・・・・・・。
表題作の「夕映え天使」の冒頭の文章、「カウンターには八つの丸椅子が並んでおり。テーブル席はないがそのかわり、十人ほどの宴会ができる小座敷がある。」
店のつくりからトイレの位置までアリアリと、自分勝手に思い描けてしまう。
ありそうな舞台設定で、自分は登場人物には成りえないのだが、凄く共感が持てる主人公になっている。少しツキがなく、真面目に頑張ってきたのだが、無常にも時間だけが過ぎ去り、過去に置いてきた思いが日々大きくなり、吾が身を責める。
時代背景など剥離していようが、その時、その場所に傍観者としての自分の姿も物語の中に入ってしまうのだ。

あぁ今宵もちょっとした心の痛みと共に、読み終えた満足感と共に本と閉じる。
読者のイマジネーションを想起させる巧い6つの短編集 ★★★★☆
無駄な表現を用いずに読者のイマジネーションを想起して物語に幅や深み与える技巧がある6つの短編小説でした。各物語の私の所感は以下の通りです。

1.夕映え天使・・・幸福になれない因果を背負った中年の男女のピュアで物悲しい物語
2.切符・・・両親と離れて祖父と暮す少年と彼の回りの人々の悲哀、そして、少年の自立を戦後の区切りとなる東京オリンピックの時代風景に合わせて描いた深みのある物語
3.特別な日・・・SF的エッセンスを交えたモーレツサラリーマンの人生の振り返りと現状認識の物語
4.琥珀・・・妻に去られ定年を迎える孤独な中年警官の悲哀と新たな旅立ちの物語
5.丘の上の白い家・・・ミステリ仕立てで哀しい人の運めの綾を描いた物語
6.樹海の人・・・三島、自衛隊、小説、訓練中の樹海で見た男、について描かれた20歳の頃の自伝的小説

蛇足ですが、樹海での自衛隊の訓練で20歳の浅田次郎はカポーティの「ティファニーで朝食を」の原書を持ちこみますが、そのカポーティは三島からお前は自殺する口だと言われことをその著書に記しています。そしてその三島の自死が小説家希望の浅田青年を自衛隊に入隊せしめたという縁に奇妙なシンクロニシティを感じました。


夕映え天使 ★★★★★
最高に面白い短編集です。
6作品すべて面白いのですが、中でも『丘の上の白い家』は超いいですよ!
絶対に読むべし!!
グッとくる短編集 ★★★★☆
浅田さんは短編で読みたい作家です。
全6編。どれも終わりや旅立ちをテーマにしています。
人の心に訴えてくるものがあり、静かな感動がありました。
どんな人にも、普通の日々の中にも、特別に大切にしたいものってある。
他人からみれば些細な出来事であっても、その人にとってはかけがえのない一瞬ってあるよなぁとしみじみ。
こういうことを大事に感じれるような感性を持っている人間でありたい。

浅田さんらしくなくて意外だったのが「特別な日」。
定年を迎えたサラリーマンのお話かと思いきや・・・・意外な展開。
浅田さんらしくないカラクリだけど、物事の終わりを迎える静けさが妙に沁みます。

しっかりと文章として書かれていない部分に、本当の感動の詰まっている作品です。