HYはおそらく、日本でいちばん“（バンドとオーディエンスとの）つながり”を感じさせてくれるバンドである。自信、信頼を意味する「Confidence」というタイトルのアルバムを引っさげ、全国47都道府県をサーキットする2006年のホール・ツアー「HY WATTA SHIKER‘06 TOUR ～mu-ruiinchu～」の模様を収めた本作を観れば、誰でも同じことを感じるはずだ。ラップ、ヘビィロック、バラードから沖縄民謡までを含んだ独創的なサウンド、一段と表現力を増したバンド・アンサンブル（特にギタリストである宮里悠平の成長には、目を見張るものがある）はもちろんだが、とにかく“お客さんを楽しませよう、みんなでひとつになろう”という気持ちが前面に出ているのだ。開演前に楽屋前の廊下からの映像を中継したり、メンバーのキャラをしっかり活かしたトークコーナー（という名のコント？）があったり。彼らのステージには、HYの曲を知らない人でも自然と入り込んでしまう強い親和力があるのだ。WATTA SHINKERは“僕らの仲間”、mu-ruiinchuは“みんないい人”という意味を示す、沖縄の方言。このDVDを観終わった後、この2つの言葉の意味をもう一度思い返してみてほしい。そのときあなたは、きっとポカポカとした優しい気持ちに包まれているはずだ。（森 朋之）