この本は、企業と市民社会のもつれあった関係を快刀乱麻を断つごとくに示してくれる。歴史的な流れをきちんと押さえているし、環境、人権、SRIなど実に多様な要素のつながりもわかる。
著者たちのスタンスも、企業、政府、市民(NGOなど)のバランスが非常に良い。こきおろし過ぎもせず、おだて過ぎもしていない。批判すべきところはきちんと批判し、評価すべき点は素直に認めている。
さらに、参考文献や関連資料などが懇切丁寧に示され、入門書としてまたテキストとして使い勝手の良いものとなっている。昨今の流行でCSRがらみの書籍が増える中、一読の価値ある良書である。