グレイト・ジャズ・トリオはロン・カーター&トニー・ウィリアムスがいた時代から、メンバーがずいぶんと入れ替わり、2002年5月録音の『枯葉』では、なんと大御所のリチャード・デイヴィスとエルヴィン・ジョーンズが加入した。顔ぶれを見ただけで思わず興奮してしまうという人も多いだろう。たしかに強力な布陣だ。その結果、『枯葉』は期待に違わず、スケールの大きさと果敢なジャズ・スピリットに圧倒される大迫力の演奏だったが、本作はその『枯葉』と同じ時に録音された演奏なので、悪かろうはずはない。
収録曲は有名曲ばかり。ハンクとエルヴィンの兄弟である亡きサド・ジョーンズの代表曲「ア・チャイルド・イズ・ボーン」を取り上げているのも、なるほどと納得。デリカシーの固まりのようなハンクのピアノ、重厚なリチャードのベース、目の覚めるようなエルヴィンのドラミング。そしてそれらが一体となった正攻法のジャズにとかにかく圧倒される。最後の1曲だけはハンクのソロ・ピアノ。(市川正二)