本書は、こんな新米システム管理者のために書かれた、一般常識ガイドである。システム管理者に抜擢されるぐらいの人なら、恐らくは知っていて当然の内容だが、管理者の仕事内容を体系的に網羅し、必要となる心構えを示した点は秀逸である。個人のパソコンと会社のシステムとは一体どこが違うのか、安全かつ快適なネットワーク環境を実現するためには何が必要なのかを、著者の豊富な現場体験からひもといている。
アップデートするかどうかを決める4つのポイントや、システム監視の際のチェックポイント、フォルダごとのアクセス権の設定、バックアップ、セキュリティなど、新米システム管理者が直面するさまざまな状況への対処方法、そして、心配りを説いている点は参考になるだろう。
また、本書には技術に疎く、理解のない上司をいかにして口説くか、同じくコンピュータに詳しくない社内のユーザーからの、意味不明なクレームにどう付き合えばよいのかなど、システム管理者としての処世術も説かれている。気軽な読み物としても楽しめるだろう。
本書を読んでも、システム管理に必要なテクニカルな情報は手に入らないが、システム管理者としての基礎知識、心構えは理解できる。すでにシステム管理者として活躍されている人には必要ないが、新米システム管理者のはじめての1冊としておすすめできる。(土井英司)