本書ではまず、ビジネスにおける色の重要性を、事例を挙げながら説明し、それからそれぞれの色の特性や顧客心理に与える影響について解説している。顧客を色に敏感な「カラーフォワード型」、慎重に色を選ぶ「カラープルーデント型」、いつも同じ色を使いたがる「カラーロイヤル型」にわけ、それぞれに対するアプローチ法を説いている。嫌いな色を受け入れさせるためにアクセントカラーや色を混ぜる手法が紹介されたり、商品のお買い得感を高めるための色づかいのテクニックが紹介されたりしている。
ファッション的な観点から本書に興味を持っているなら、第4章「色をプライベートにも活用する」が役立つ。ここでは、採用面接で身につけてはいけない色や、プレゼンテーションの場で身につけたい色、さりげなく自己主張するための小物、家や車をなるべく早く売りたいときの内装など、さまざまな話題について、Q&Aを交えながら説明されている。
色のイメージは、時代背景や文化によっても違うというが、本書では、その点についても触れられている。アフリカ、日本、中国、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカなど、さまざまな国における色のイメージの違いが明らかにされている点は、大変興味深い。本書の最終章は、「これからはやる色」で締めくくられている。過去の流行色に関する考察を読みながら、著者と一緒に「21世紀の色」を予想してみるのも楽しいだろう。(土井英司)