いじめられっ子たちが仮面をつけて、別の人格をもつ。そんな風潮が全国の学生たちの間でブームになるが、それと並行して仮面にまつわる殺人事件が発生する。探偵きどりの高校生、有季と貢が独自の調査を続けるうちに、どこか陰を背負った若き仮面職人、堂島と出会うが…。
   宗田理のジュヴナイルミステリ小説を、藤原竜也主演で映画化したのが本作である。彼の出番自体は少ないのだが、作品全体にわたって存在感があるのはさすがだ。実質的主役は、有季役の黒須麻耶である。一見陰気なストーリーながら、彼女の明るくはつらつとしたキャラクターがその暗さを吹きとばし、少年少女たち本来の快活さを思わせる。悪ガキ映画の第一人者、小松隆志監督のねらいもそこにあったのかもしれない。（的田也寸志）