プレリュード~ベスト・オブ・シャルロット・チャーチ
価格: ¥2,520
レコード業界が若いアーティストに入れこんでいるということの、これ以上の証拠があるだろうか? 考えてもみてくれ、ウェールズ生まれの新進の歌姫シャルロット・チャーチは、弱冠16歳ながらベテランであり、もう初のベスト盤をリリースしようと言うのだ。本作には、デビューからこれまでの4枚のアルバム、それにアルバム未収録のコラボレーションや未発売のナンバーから集めた18曲が収められている。そして、彼女のソプラノボイスの無限の可能性をはっきりと見せてくれる。それとともに、将来のキャリアの障害も見える。
シャルロットのすでに成熟した透明感に満ちたボーカルの見せ場となるのは、何をおいてもクラシック志向の作品だろう。アンドリュー・ロイド・ウェバーの「Pie Jesu」、フランクの「Panis Angelicus」、ドリーブの「Flower Duet」の今そこら中で聴ける彼女のヴァージョン、それにフォークのトラディショナルナンバーの「She Moved Through the Fair」や「My Langan Love」。けれども、すでに時代遅れの「Dream a Dream」や偽フラメンコ・ヴァージョンのビゼーの「Habanera」のような過剰なプロデュースは、彼女の良さをほとんど打ち消している。
だが、「The Prayer」での神童仲間のジュシュ・グローバンとの将来への期待を予感させるデュエットや、映画『ビューティフル・マインド』の「All Love Can Be」の円熟した夢見るようなヴァージョン、それに、未発売だった「It's the Heart That Matters Most」や「Bridge Over Troubled Waters」での力強い歌いっぷりは、これからポップスの分野にもクロスオーバーする可能性を十分に証明している。もちろん、21歳までにシャルロットが引退していなければの話だが。(Jerry McCulley, Amazon.com)