残酷さの意味
★★★★☆
現在に残るおとぎ話の多くは、時代の流れの中で編集が加えられたものでした。子供に聞かせるのにふさわしくない描写を削除した形の、ほのぼのとした話が今に伝わる童話です。実際はグロテスクな描写や残酷な記述が含まれていました。しかしそれらは無駄に含まれていたのではなく、それぞれの時代の背景や教訓、社会的タブーによるものです。ですが、序文にはこのように書かれています。「昔が残酷なことの多い時代だったというわけではありません。むしろ現代の方が残酷なのではないでしょうか」と。昔の童話は社会の厳しさを描いた物語であったのだと思います。童話、昔話の真実の姿は、大人の読み物としてふさわしいのではないでしょうか。 また、悲恋の物語「人魚姫」はアンデルセン自身の悲観的な恋愛観が現れているという説や、「眠り姫」の続きの話など、よく知っている物語をさらに深く読むことができました。