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太陽の科学 磁場から宇宙の謎に迫る (NHKブックス)

価格: ¥1,048
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: NHK出版
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太陽がいっぱい ★★★★★
「太陽研究はここ十数年の間に日進月歩で飛躍的に進んでおり、日々新たな知見が明らかになっているというのが実感です」。

著者は太陽研究の第一人者。世界の最先端をいくという最近の日本の研究成果をふんだんに交え、予想以上に活発で変化に富む活動を行っている太陽の姿を明らかにしている。

最初の章では、太陽の基本構造の概要を説明している。後続章を正しく理解するためには、この章は丁寧に読む必要がある。不可思議な温度分布や、超粒状斑の仕組みなどは、なかなか興味深い。

私見だが、本書で一番の目玉は、第2章の「人工衛星が明らかにした太陽の真実」ではないだろうか。人工衛星からの観測データの説明、フレアのメカニズムの論争とリコネクションについての解説が行われている。

第3章では、宇宙天気予報の可能性と現状及びその意義について述べられている。太陽の活動は活発に変化し地球に与える影響が大きいので、その観測と予報は重要だということだ。太陽の活動の変化が温暖化ガスの増減よりも地球に与える影響が大きい可能性についても述べられている。

太陽研究で説明された手法や成果は、他の天体にも適用できる。第4章「爆発だらけの宇宙」では、爆発とジェットだらけの宇宙の姿を明らかにすると共に、ガンマ線バーストについての著者の考えを述べている。

終章にかけて、恐竜などの生物大量絶滅に巨大な太陽フレアが関わったかもしれないことについても言及している。これについては、もしそうだとするならこういう物的証拠が残されているのではないかというようなこともあればよかったように思う。あと、ウルトラマンの故郷のM78星雲は元々はM87星雲の予定だったが書き間違いでM78になったそうで、本当はM87の方が堂々としていてウルトラマンの故郷としてふさわしいとか。。。

口絵のカラー写真をはじめ、いろいろな写真や図やシュミレーション結果が掲載されていて、わかりやすい。本書をある程度理解するには高校の理系コース程度の科学の知識は最低必要だと思われるが、科学的な好奇心を満足させる良質な一冊である。口径3.8mの新型光学赤外線望遠鏡による観測成果が出た頃に、ぜひまた改訂版を出して欲しいものである。それから、本書で紹介されている宇宙天気モデリングプロジェクトのURLにある画像はなかなかすごいので、並行して参照されることをお勧めする。
フレアについてよくわかりました。 ★★★★★
太陽に関する最新の知見を解りやすく説明している。
巻頭の多色刷りの写真もわかりやすく、さあ読もうという気にさせてくれる。
フレアの仕組みをはじめて知りました。
2009年が世界天文年だったとのこと。出遅れました。
解明されたことと不明なこと ★★★★★
 著者は京大理学研究科附属天文台長で、太陽を中心とする宇宙全般の科学的な探求に全力を注いでいる一線の研究者。ただ、過去に一般向けの啓蒙書(単著)は書いていないらしく、市民講座での連続講義をベースにした本書が最初の素人向け概説書になったようだ。

 とはいえ、一般向けとは言いつつも内容は相当に難しく、咀嚼するのは大変。書き手の能力に起因する社会科学的な晦渋、韜晦、もったいぶりではなく、あくまで自然科学の理論と観測に基づくがゆえの難解さ、つまり読み手に物理学の一定の常識さえあれば呑み込めるはずの難しさで、物理学の素養人並みの評者には正直、通読はホネだった。文章自体はまともで、説明も、例えを多用する丁寧なものだけに、むしろこちらの不勉強を嘆くばかり。ともあれ、光球の温度は6000度ほどなのに、プラズマ状態のコロナは100万度などといった太陽の基本構造から始まって、フレアのメカニズム、大小の爆発を繰り返している太陽からのX線放射・高エネルギー粒子線・太陽風を予知するための「宇宙天気予報」の重要性、さらに宇宙の生成と発展をめぐる世界的な最前線の論争の紹介など、本書がカバーする範囲は広く、つっかかりながらも面白く読み終えることができた。

 時事的なことに絡めれば、著者は前書きと第3章「太陽が地球に与える影響」の中で近年の「地球温暖化」論に対し、「温暖化の原因は二酸化炭素と言い切っていいのだろうか」「(むしろ今後は)寒冷化が心配されている」(10頁)、「『温暖化二酸化炭素説』が確立しているかのような議論がまん延する状況を、われわれ科学者は黙ってみていていいのだろうか、というのが(惑星科学者たちの)大方の議論。私もこの議論に全面的に同意する」(139頁)などと記している。

 さらに「最近100年間の地球温暖化に太陽黒点や宇宙線が関係しているかどうかはまだ論争中で、賛否両論がある。面白いことに、気象学者の多くは猛反対しており、天文学者・物理学者には賛成する人が少なくない。学会のコミュニティーは対立している」(141頁)などとも。最前線の科学者である著者は「分かっていないことはあまりに多い」という宇宙科学の実際を謙虚に認め、だからこそ世界的に協調した観測体制と(ドグマにとらわれない)世界的な論争こそが重要、時々刻々と成果は上がりつつある、と楽観的なようだ。悲壮な口吻で「科学上の論争は決着済み。論争ではなく行動(二酸化炭素排出規制)を」と唱える、「温暖化二酸化炭素説」陣営の方々とは対照的だった。