正しそうに思えるけどじつは正しくなかったり、辻褄が合ってそうだけどじつは矛盾をはらんでいたりといった論理(逆説=パラドックス)の数々が紹介されている(ちなみにレビューのタイトルも逆説です)。
本のタイトルから、逆説がただズラーッと羅列されているのかといったら、そうでもない。ページを超え章を超え、ある逆説が何度も登場したりもするし、各章でテーマに沿った話の展開もある。
また逆説の説明以外にも、哲学や論理学に通じる話が多い。実在論とはなにか(ブラックホールの内側のように観測不可能であっても、そこにはそれが存在すると認める論)。「AはBである」ことを知るには、①「AがBである」と思うこと、②「AがBである」と信じる根拠があること、③実際に「AがBであること」などが必要、といった話などなど。
こんな感じだから、理論上の話がほとんど。読めば読むほど現実社会の諸問題から遠ざかり、もうひとつ世界をゆらゆらさまようことになる。つまりは現実逃避に最適。想像の世界を行ったり来たりするのが好きな人は、読むこと自体が目的達成となる。この感覚は数学にのめり込んでいるときと似ている。