オランダ人を捕虜抑留所に入れた日本兵は、残虐行為も行う。
ちょっとでも(西欧人が)抵抗の気配をみせたり、”場違いな西洋人の優越感”を示そうものなら、
即刻、(日本兵は)わが使命とばかりに殴りつける。
むきになって制裁を加えた日本兵。白人の優越感、しいては黄色人の劣等感は、
彼らのもっとも嫌うところであったことは現代人には理解しやすい。
著者は人種差別がない人間で、日本兵がオランダ捕虜にやった残虐行為を、インドネシア人を奴隷
扱いしていたオランダ人が責めることは出来ないと言う。
残された日本兵の日記には、暴力の渦中(暴力行為をし、戦局が逆転すれば受けもする立場)
にいて、その暴力の下らなさを諦観する内容が目立つ。
東インドのオランダ人は、優勢人種の権利(暴力)を取られたことに苛立ち、
日本側は、暴力によって自分の人種的劣等感を打ち砕こうとする。
優勢側が暴力をふるう、劣勢側が暴力をふるわれるという戦争定理。
白人至上主義 対 人種劣等感打破、
生を謳歌したい西欧人 対 死か国家の勝利しかなかった日本人
また戦後に書かれた著書が、どれだけ著者の解釈、「決まり文句」にゆがめられ、
実質的体験からかけ離れたものであることを警告する内容。良書です。