宮本佳野の傑作!
★★★★★
宮本佳野の漫画は温かい。人が人を求めるということ、誰かにとっての大切な存在になることの喜び、そういうものがここには描かれている。
登場人物達はみな、相手に負担をかけない絶妙な距離感を知っている。そのままの想いを言葉にすることはない。たとえばトオルがあとりに「好き?」と聞くシーン、驚くあとりに「男とすんの好きかってきいてんの」というところなど切ない。「俺のこと好き?」とは聞かない、いや聞けないのだ。そういったリアルな会話が多い。最初は自分の本当の気持ちさえよくわからずにいるが、近づいてゆく二人の距離。最後ある事件により心と心はまっすぐつながる。その時の感動といったらない。全てが許されるかんじ。それでも適度な距離を保ちながら相手を愛していく、人間っていいなと思える作品!