サンライズ クリティカル・エディション [DVD]
価格: ¥5,670
『サンライズ』こそ、もっともすぐれたサイレント映画だという向きがある。いや、あらゆる時代を通じてもっともすぐれた映画だとする向きもある。こういった意見には激しい反論もあるが、ひとまずこの映画を観てもらいたい。何はともあれ、比類ない映像美にあふれ、清らかな魂が描かれている作品だと思うはずだ。田舎で暮らす夫婦が村から都会へ出てまた戻ってくるというどこにでもありがちなこの物語は、『吸血鬼ノスフェラトゥ』『最後の人』を撮ったドイツ人監督、F.W.ムルナウがドイツからアメリカに渡ってきて初めてハリウッドで監督した作品である。
ドイツ時代のムルナウは、何気ない日常が化け物に取りつかれたように見え、突拍子もない映像でありながら現実感は決して失われていない映画を撮っていた。そんな彼にハリウッドは技術的な資源を提供して彼ならではの創作力を発揮させ、対するムルナウは移動撮影、構図などすぐれたカメラワークを披露してハリウッドの黎明期に貢献した。沼地での散歩、湖のさざ波、森を抜けて都会へと走る路面電車に乗っている場面を、あなたは忘れないだろう。『サンライズ』は映画術を定義する作品なのである。(Richard T. Jameson, Amazon.com)