アーティストとビジュアルが、これほどのマッチを見せた例はめずらしい。シンガー・ソングライターのギリアン・ウェルチ、そして彼女の音楽上のパートナーであるデヴィッド・ローリングスを主役にした本作では、1時間にわたりビデオとコンサート・パフォーマンスを楽しめる。全編アコースティックでルーツ色が強いウェルチの音楽は、ピュアで飾り気がなく、シンプルだ。取り立てて昔風のスタイルというわけでもないのに、懐かしい響きがする。ここに収められた3つのビデオと9つのライヴ・ソング（「Revelator」は両方のフォーマットで収録）は、すべて2001年撮影だが、モノクロ映像だ。また、小道具や視覚効果といった細工も出てこない。音楽性を映像に反映させた結果だろう。曲の大半はウェルチ自身の手によるものだが、ボブ・ディランやニール・ヤングのカバーもある。本作の最後を締めくくるのは、ブルーグラスの偉人ビル・モンローのチューン。高揚感やノリのよさはあまり期待できない作品だが、ウェルチの持ち味をうまく生かしており、ファンなら大いに楽しめそうだ。（Sam Graham, Amazon.com）