内容の中心は、ホールマーク社が数千人の顧客に対して行った調査をもとに開発した「バリュースター」と呼ばれるモデルの紹介。バリュースターとは、調査によって明らかになった顧客の動機付けの枠組みで、その構成要素は、エクイティ、経験価値、時間・労力価値、金銭的価値、商品価値の5つである。ホールマーク社では、この5つの要素を大きく2つに分け、商品価値、金銭的価値を合理的側面に、エクイティ(信頼)、経験価値(関係性)、時間・労力価値(利便性)を情緒的側面に位置付けている。もちろん、重要視されるのは後者の情緒的側面に位置する動機付けで、ここに感情マーケティングのポイントが隠されているのである。
若干読みにくいのと、誤植が気になったが、事例もきちんと盛り込まれており、参考になる。規模の大きな企業の感情マーケティングの実践例として、注目したい1冊である。(土井英司)