Rock Steady
価格: ¥1,024
自分たちは唯一無二のユニットなのであって、「グウェンと子分の男たち」ではない――ノー・ダウトが何度そう断言しようと、『Rock Steady』に先立ってグウェン・ステファニがラッパーのイヴ、テクノ界の大物モービーと組んで発表し、大評判となったデュエット曲を前にしては、男性メンバーたちの出る幕はなくなる。2000年にリリースされた『Return of Saturn』以来、男性陣の影はどんどん薄くなっていくばかり。しかし、そんな世間の評判は『Rock Steady』で吹き飛ばされるのだ。これは明らかに音楽そのものがスターとなったアルバムであり、グウェンの見せるかわいげのないフェミニズムや恋人に捨てられた苦しみにしばられてはいない。ノー・ダウトは、自分たちの原点であるスカから一気に離れ、ヒップ・ホップのビート、レゲエ、1980年代風のキーボードとギターの組み合わせなど、新しい試みを首尾よくこなしていく。その結果、ノー・ダウトはガービッジが無残なかたちで落としてしまったポップ・ロックのバトンを拾い上げたのだ。『Rock Steady』のえりすぐりのプロデューサーたちは、それぞれ自慢の腕をふるって見事にこのディスクを盛り立てている。リック・オケイセック(ニュー・ウェイヴ)、プリンス(R&B)、ネリー・フーパー(トリップ・ホップ)、スライ&ロビー(ダブ)、ウィリアム・オービット(トランス)は、気まぐれな方向に流れてしまいかねない音楽に踏みとどまる力を与えた。プロデューサーたちのスタイルがバラバラなのにもかかわらず、ここに並んだ曲は星条旗の星とストライプのような組み合わせの妙を見せる。本作は今までのところノー・ダウトのベスト・アルバムだ。彼らの影響力は今なお広がっており、パーティーは盛り上がる一方だ。(Beth Massa, Amazon.co.uk)